徒然草『つれづれなるままに』『神無月のころ』の本文と現代語訳・品詞分解と重要単語

スポンサーリンク
古文の本文と全訳・解釈

『徒然草』は兼好法師によって書かれたとされる随筆です。清少納言の『枕草子』、鴨長明の『法上記』と並んで古典の「日本三大随筆」と言われています。

高校入試で頻出であり、高校入学後の古文の授業で必ずと言っていいほど扱われる作品です。

本文と現代語訳・重要単語をしっかりと覚えて、テスト対策や受験の基礎知識を身に付けてきましょう。

スポンサーリンク

つれづれなるままに

keirinkanより

【本文】

 つれづれなるままに、日()らし、(すずり)に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。(序段)

【現代語訳】

 することがなく手持ちぶさたなのに任せて、日が暮れるまで、硯に向かって、心に浮かんでは消えていくつまらないことを、とりとめもなく書きつけていると、不思議にも、心が乱れるような気分になる。

【重要単語】

ものぐるほしあやしよしなし(ごと)つれづれなり
形容詞形容詞形容詞形容動詞
シク活用シク活用ク活用ナリ活用
心が乱れるような気分になる。気が変になりそうだ。①不都合だ。けしからぬ。②不思議だ。変だ。▼ここでは②の意。①理由がない。しようがない。関係がない。②つまらない。無益だ。とりとめもない。▼ここでは②の意。①することがなくて手持ちぶさただ。退屈で所在ない。②もの寂しい。▼ここでは①の意。

【品詞分解】

3918aff3ffc32190a30a64d524ab5634

【テスト対策問題】

発問 「つれづれなる」を文法的に説明せよ。

 ナリ活用形容動詞「つれづれなり」の連体形。

発問 「つれづれなるままに」は、どの言葉を修飾するのか。

 書きつくれば。

発問 「心にうつりゆく」とは具体的に何がどうなることを表しているか。

 つまらないことが心に浮かんでは消え、また浮かんでは消えていく状態。

脚問 「あやしうこそものぐるほしけれ」(四四・3)を品詞分解せよ。

 あやしう(シク活用形容詞・連用形・ウ音便)/こそ(係助詞)/ものぐるほしけれ(シク活用形容詞・已然形)。

発問 「あやしうこそものぐるほしけれ」の係り結びを指摘せよ。

 こそ…ものぐるほしけれ。

発問 「ものぐるほしけれ」の意味を辞書間で比較し、どのような意味が適当か考えよ。

 ①狂気じみている。②訳がわからない。③心が乱れるような気分がする。④ただごとでないような共感を覚える。

発問 「ものぐるほしけれ」の主語を答えよ。

 ①作者自身が。②書き上がったものが。③書いている気分も書き付けられていく文も。④書き付けること自体が。

発問 作者がこの作品を書こうとした動機を現代語で答えよ。

 することがなく手持ちぶさただから。

発問 作者がこの作品で書こうとしている対象を現代語で答えよ。

 心に浮かんでは消えていくつまらないこと。

発問 本文中から形容詞をすべて抜き出し、それぞれの活用形を答えよ。

 そこはかとなく・連用形/あやしう・連用形/ものぐるほしけれ/已然形

発問 本文中から形容動詞を抜き出し、その活用形を答えよ。

 つれづれなる・連体形

神無月のころ

【本文】

 (かみ)()(づき)のころ、(くる)()()といふ(ところ)()ぎて、ある(やま)(ざと)(たづ)()ること(はべ)りしに、(はる)かなる(こけ)(ほそ)(みち)をふみわけて、(こころ)(ぼそ)()みなしたる(いほり)あり。()()(うづ)もるる(かけ)()(しづく)ならでは、つゆおとなふものなし。()()(だな)(きく)紅葉(もみぢ)など()()らしたる、さすがに()(ひと)のあればなるべし。

 かくてもあられけるよと、あはれに()るほどに、かなたの(には)に、(おほ)きなる(かう)()()の、(えだ)もたわわになりたるが、まはりをきびしく(かこ)ひたりしこそ、(すこ)しことさめて、この()なからましかばと(おぼ)えしか。

【現代語訳】

 陰暦十月の頃、栗栖野という所を通って、ある山の中にある人里に人を訪ねて入って行ったことがありました折に、遠くまでつづく苔むした細い道を踏み分けて、もの寂しい様子で住んでいる庵がある。木の葉に埋まっている懸樋の雫の音以外には、まったく音を立てるものが(なく、そして訪れる者が誰もい)ない。閼伽棚に菊や紅葉の枝などを(無造作に)折って置いてあるのは、そうはいうもののやはり、住む人がいるからであろう。

 このようにしても暮らすことができるのだなあと、しみじみと心ひかれて見ているうちに、むこうの庭に、大きな蜜柑の木で、枝もたわむほどに(実が)なっている木が、そのまわりを厳重に囲ってあったのは、少し興ざめがして、この木がなかったならば(よかっただろうに)と、思われたことだ。

【重要単語】

覚ゆあはれなりさすがにおとなふつゆ…(打消)神無月
動詞形容動詞副詞動詞副詞名詞
ヤ下二ナリ ハ四  
①思われる。感じられる。②思い出される。思い出す。③似ている。④(人から)思われる。▼ここでは①の意。①しみじみと心ひかれる。情趣が深い。趣がある。②しみじみと悲しい。▼ここでは①の意。そうはいうもののやはり。①音をたてる。②訪問する。手紙を送る。▼ここでは①②の意を掛けている。少しも(…ない)。まったく(…ない)。決して(…ない)。陰暦十月。

【品詞分解】

091cf5989c3dc6bf57372d6654472079

【テスト対策問題】

発問 「神無月」は、旧暦では何月にあたるか。また、季節はいつか。

 十月。冬(初冬)

発問 「尋ね入る」の主語を答えよ。

 作者(兼好法師)。

発問 「侍りし」を現代語訳せよ。

 ありました

発問 「ふみわけて」の主語を答えよ。

 ①庵の主。②作者(兼好法師)。③作者と庵の主が重なる、主観と客観が錯綜した修辞的表現。

発問 「心細く住みなしたる」の主語を次から選べ。

ア 作者 イ 庵の主人 ウ 庵  エ 世間の人々

 

発問 「住みなしたる」と「住みたる」を比較すると、どのような意味の違いがあるか。

 「住みなしたる」は、あえて意図があってそのような状態で住んでいることを意味する。一方「住みたる」は「住みなしたる」に比べて、あまり意図的なものを感じられない。

発問 「つゆ」はどの語と呼応しているか。

 (「ものなし」の)なし

発問 「懸樋の雫ならでは、つゆおとなふものなし」の修辞法を指摘せよ。

 縁語(雫→露)。掛詞(「音なふ」と「訪なふ」)。

発問 「雫ならでは」を単語に区切るとどうなるか。最も適当なものを、次から選べ。

ア 雫なら/で/は イ 雫なら/では ウ 雫/なら/で/は エ 雫/なら/では 
オ 雫/ならでは

 

発問 「つゆおとなふものなし」を、陳述の副詞と掛詞を踏まえて現代語訳せよ。

 まったく音を立てるものがなく、そして訪れる者が誰もいない。

発問 「さすがに」を、指し示す内容を明確にして現代語訳せよ。

 懸樋の雫以外は、まったく音を立てるものがなく、そして誰も訪れる者がないとはいうもののやはり。

発問 「住む人の」の「の」の文法的意味を答えよ。

 主格

発問 「さすがに住む人のあればなるべし」から助動詞を抜き出し、文法的に説明せよ。

 「なる」…断定の助動詞「なり」の連体形。/「べし」…推量の助動詞「べし」の終止形。

発問 「なるべし」と言い切る表現に反映された作者の心情を答えよ。

 判断への自信。庵の主に寄せる共感の強さ。

発問 第一段落から形容動詞を抜き出せ。

 遥かなる

発問 第一段落で目にしたものに対する作者の心情を表す語を、本文中から一語で抜き出せ。思

 あはれに

発問 「かくても」とはどのような内容を指しているのか。

 俗世間から離れた、人との交渉のない寂しく静かな所であっても。

発問 「かくてもあられけるよ」を現代語訳せよ。

 このようにしても暮らすことができるのだなあ。

発問 「かくてもあられけるよ」には、作者のどのような気持ちが込められているか。

 俗世間から離れた人との交渉のない寂しく静かな所における庵の主の生活ぶりに深く感心する気持ち。

発問 「あられけるよ」について、

①「あら」を文法的に説明した次の文の空欄に当てはまる語句を答えよ。

( Ⅰ )活用の動詞「( Ⅱ )」の( Ⅲ )形。

②「れ」と同じ意味のものを、次から選べ。

ア あかつきに、川竹の風に吹かれたる、 イ 抜かんとするに、おほかた抜かれず。

ウ 前の世の罪、思ひやられ侍れば、 エ 嵯峨の院の、御心地悩ましう思し召されて、

 ①Ⅰ…ラ行変格 Ⅱ…あり Ⅲ…未然 ②イ

発問 「あはれに見るほどに」から、庵の主人に対する、作者のどのような気持ちが読み取れるか。

 庵の主人が閑静で風流な自然体の暮らしを送っていると見て、大変好ましいと感動する気持ち。

発問 「あはれに見るほどに」について、このとき作者が抱いた心情として最も適当なものを、次から選べ。

ア 悲嘆 イ 同情 ウ 感心 エ 嫉妬 オ 崇拝

 

発問 「柑子の木の」に出てくる二つの「の」の文法的意味を答えよ。

 連体修飾格。/同格。

発問 「枝もたわわになりたるが」の「なり」を文脈上二通りに解釈しなさい。

 「枝もたわわに(実が)なっているのが」…「実る」の意。/「(実が重いため)枝もたわむ(しなる)状態になっているのが」…「成(為)る」の意。

発問 「こそ」の結びの語を文法的に説明せよ。

 過去の助動詞「き」の已然形

発問 「少しことさめて」について、このとき作者が庵の主に抱いた心情を二字の漢字で表せ。

 落胆/幻滅/失望/諦念など

発問 「少しことさめて」(四五・10)について、

①現代語訳せよ。

②「ことさめ」た理由として最も適当なものを、次から選べ。

ア 菊や紅葉に加えて、山里には不似合いな柑子の大木まであったから。

イ たわわに実った柑子の木の囲いが不完全で、管理がいい加減だったから。

ウ 風流に住まっているようなありさまの庵なのに、主人の物欲を感じたから。

エ せっかく山道を歩いて訪れたのに、庵の住人が不在だとわかったから。

オ 庭の柑子の木の厳重な囲い方から、主人の厳しい人柄を想像し恐れたから。

 ①少し興ざめがして、 ②ウ

発問 「この木なからましかば」の後に省略されている表現を古語で答えよ。

 よからまし。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

徒然草は、高校入学後に扱うにはちょうどいい難易度と文法レベルの文章です。

そのため、私立高校の入試などにもよく使われたりします。

兼好法師が様々な物事に関して、鋭い切り口での感想を書き綴った徒然草は他の段も必見です。

他の古文についての解説は以下にあります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました