合格できる志望理由書の見本【学部別参考例で完成〜文系編〜】

スポンサーリンク
大学入試について
スポンサーリンク

経済学(経済への興味で終わらせず、経済学の分野における課題を探る。)

 大規模な災害が発生すると、人々の生活や生産活動に大きな支障を来す。私は 経済学の視点から復興の方法を考え、地域経済の活性化の担い手になりたい。 

 私は、東日本大震災で被災したひとりである。震災の後は東北や北関東にある工場が稼働できず、 放射性物質の影響で農作物が出荷できない事態となったことを覚えている。他方、日用品の買い占めが起こり、被災地だけでなく全国的に物不足が起こった。しかし、品物の価格は私が高校の公民で学んだ価格メカニズムの通りにはならなかった。品物のほとんどは、物不足の直後に価格が上がらなかったのである。一方で、インフレーションを引き起こす可能性は依然として残り、 私たち被災者の生活に大きな影響を与えかねない状況が続いた。私はその時、未曽有の災害によって突然、 需要と供給のバランスが崩れると、復興を妨げる恐れがあると思った。 そして、こうした災害の際に経済をどうコントロールすれば復興ができるのか、という課題に取り組まなければならないと考えた。経済学の立場から政府に助言を与えることで、市場を復活させる支援をするのである もちろん、価格を監視してインフレーションを防ぎ、 人々の復興へのモチベーションを高めることも欠かせないだろう。 こうした災害による地域経済の危機への対処法が確立すれば、人々が経済的に立ち直る支援ができるに違いない。 

 そのためには、災害時の価格変動や政策、そしてその効果を、経済学の視点から分析することが必要だ。 ○○大学経済学部経済学科は、経済学の基本を習得するとともに、農業経済学や都市経済学、リスクマネジメントといった復興のための経済を考える講義が選択できる。また、△△研究室では、開発経済学の知見から災害時の経済政策の研究をしている。

 地域経済の復興と活性化を目指す私にとって理想的な学びの場であるといえる。そして、将来は貴学での学びを活かし、政策立案の支援ができる人材として活躍していきたいと考えている。

さとう
さとう

「将来の役に立つから」という自分本位の理由ではなく、「広く社会の役に立ちたい」という願いが書かれていますね。自分がやりたい課題を深掘りするのが始ボイ理由では大切です。

 

経営学・商学(経営用語い振り回されずに、経営学・商学研究の内容を具体的に示す)

 今後、都市と地方の地域格差が拡大するにつれて、地方経済、 特に小規模な市町村 の活性化が課題となる。 私はマーケティングについて研究し、地域経済の活性化を目指したい。 

 私の住む町では地域ブランドを確立しようと躍起になっている。私の町は大きな産業を抱えておらず、観光地もない。 過去、地元商店街が△△というB級グルメを生んだが、その後、廃業する飲食店が後を断たず、今では観光客が訪れる姿をあまり見ない。 他の地域が活性化する状況を見ても、地域名産の開発やイベントの開催が主であり、 多くは一過性のものである。 町を本当に活性化するならば、継続的な取り組みのもと、自然と定着するような方法を考えるべきではないか。そのためには、それぞれの地域の特性を見直した上で、自分たちの住む地域の新たな魅力を見出すことが欠かせない。そしてさらに、時代にあった方法で活性化を行うことが望まれるのではないか。こうした地域ブランドのマーケティングには、ものを買う行動に潜む仕組みを読み取るという経営学的な捉え方が強く求められていると考える。 ブランディングで地域活性化を進展させることにより、地元で継続的に定着する方法を提案できると考える。 

 その実現のためには、企業の利益追求を中心とするものではなく、 社会との関わりを重視したマーケティング戦略を立案するための能力が必要だ。そのために私は、○○大学経済学部経営学科を選んだ。貴学では 消費者行動論やブランドマーケティング等の様々なマーケティング戦略の基礎を学べるだけでなく、地域ブランドの確立について研究する□□教授からのアドバイスも期待できるので、志望した。 

 私は、地域経済が衰退する姿を、地元で目の当たりにしてきた。 こうした地域を少しでも多く救い、地元の人々の生活が豊かになるような支援をしていきたいと考えている。

さとう
さとう

経済と経営は異なるので、ごっちゃにしないようにしましょう。その上で、経営学を学び「何を成し遂げたいのか」を明確にし志望理由に落とし込んでいきます。

スポーツ科学・体育学(「体育教師になりたい」だけではなく、体育学の研究の活かし方を考える。)

 現在の子どもたちは体を動かす機会が少なくなり、それが子どもの体力が低下する要因のひとつとなっている。 子どもたちの体力向上を目的として、私は運動遊び、つまり子どもたちが体を動かして日常的に行う遊びを体力向上に活かす研究開発をしていきたい。

 そもそも、私が運動と社会のつながりについて強く意識するようになったのは、地元のスポーツ大会の開催を通して子どもの体力向上を考えた時からである。しかし、短期的視点のイベント開催だけでは、子どもの継続的な体力向上は望めないと考える。また、全国の学校では「運動の日常化」 として様々な取り組みを実施しているが、 継続的な取り組みとして機能しているかは疑問だ。 

 私はこの現状を踏まえ、「運動遊び開発プロジェクト」を提案する。まず、子どもの運動の状況を把握し、鍛えるべき筋肉や運動量を割り出す。そして、それを満たす運動遊びを開発し、学校現場の中で実際に継続して取り組んでもらう。 その結果を分析し、運動遊びの改良や新たな遊びの開発に活かす。 将来的には、運動遊びをライブラリ化することも目指す。 多くの子どもが楽しんで運動する機会を増やすことは、子どもの体力向上のみならず、 将来の生活習慣病予防にも役立つであろう。 このように、 子どもの運動に関する研究は、非常に重要だと考える。 

 そのためには、体力向上に効果的な運動遊びを研究する場が必要である。 その場として私は、 体育学に関する最先端の研究を進めている○○大学体育学部体育学科が最適だと考えている。 たとえば、子どもの発達段階に応じた体力向上プログラム作成の専門家、筋力測定の研究や人間工学のスペシャリストの指導が受けられる子どもが運動遊びを行う時の筋力を把握し、 時にはアスリートが持つ技を体力向上の研究に用いることもできる。

  将来は私の研究の成果を全世界へ広め、 運動遊びを通して体力を培った子どもたちを生み出す担い手となりたいと考えている。 

さとう
さとう

実は将来目指す仕事が書いてありません。おそらく未定なんだと思います。それでも自分なりの経験から社会問題を見出し、解決のために貴学で研究したいという流れは押さえてあります。
よくある「体育の先生になりたい」「運動が苦手な子をなんとかしたい」「運動の楽しさを伝えたい」などではないので独自性があります。

 

観光学(「観光の仕事に就きたい」ではなく、観光を学問としてとらえ直すこと)

 様々な年齢・性別・国籍の人々が共通して求めるサービスは、ホスピタリティ、つまり、おもてなしの心である。 私はホスピタリティの要素を解明して世の中に広め、 人々がよりよいサービスが受けられるようにしていきたい。

 私がホスピタリティについて興味を持ったのは、 家族旅行の際にホテルスタッフの姿を見たからである。その時のことを振り返って、私たちに安心を与えてくれる要素とは何なのかと考えた。 それは、サービスする側と受ける側の相互の良好な関係性に他ならない。客が宿泊料を支払い、ホテル側はきれいな部屋とおいしい食事を提供する、ただそれだけの関係ではないのだ。 スタッフは宿泊客の内なる要望を満たすために、宿泊客を観察し、時には積極的に対話する。 その情報をもとに、自らができる最大限の対応をする。 そういう精神性が客に安心感と満足感を与え、これらは宿泊業を問わず、 サービス業全般で求められるものではないか。

 しかし、そうした精神性を育む仕組みは、理論化や数値化をしているわけではなく、 企業や組織が持つ社風や理念に委ねられるところも大きい。 これを統計学や心理学によってモデル化できれば、宿泊施設のサービス改善だけでなく、 様々な業種にも応用できるのではないか。そのためには、観光産業におけるホスピタリティの要素を分析してモデル化する能力とともに、その成果を活用する場が必要だ。

 ○○大学観光学部観光学科では、経営学や観光学の基本や調査法を段階的に学べるカリキュラムが備わっている。 それとともに、観光に関わる人々を有効な資源として捉え、人材育成や活用法について研究できるゼミナールもある。 さらに、観光に関わる仕事が体験できるプログラムやイン ターンシップも盛んに行われている。

 将来は、ホスピタリティをサービス業のあらゆるところに広めていきたい。 そして、お客様が満足するサービスを提供することを第一に考え、人々の幸せづくりの役に立てるように頑張っていきたい。 

さとう
さとう

「観光」というものを研究対象として「このように考えている」ということが述べられています。そして自分なりのキーワード「ホスピタリティ」を挙げ、志望理由に一本筋を通しています。

社会福祉学(「福祉士」という視点を超え、福祉を研究対象として捉える)

 今後、高齢化が進み、単独世帯が増えていくことは想像に難くない。しかし、現状のままでは支援が十分とはいえない。人間としての尊厳を保ち、高齢者の生活改善を図るため、高齢者を見守る方法を社会福祉学の視点から研究していきたい。 

 高齢者の孤立の原因は、 高齢者本人と社会とのつながりの薄さにある。 背景には、 地域のコミュニティ機能の低下がある。 その解消のためには行政の積極的な介入が必要だ。□□県では、団地で一人暮らしをする高齢者を支援するために、「一人暮らし高齢者等見守り支援事業」を行っている。社会福祉士、住民や自治会、商店、民生委員などと連携しながら、生活を支援する。しかし、財政面の問題から十分に提供できない地域もある。民生委員や地域住民も高齢化し、見守る側の負担が大きいことも問題だ。最近ではICTを活用した見守りシステムも開発されているが、プライバシー面の課題もあり、高齢者の尊厳を保つ運用方法を考える必要がある。 そこで、私は大学で見守りシステムのあり方を研究したいと考えている。 高齢者の対応を家族や親族が丸抱えすることを防ぎ、 負担を社会で分担することにつながる試みとして、これからの高齢化社会には必ず求められるものだと確信しているからである。 

 こうした研究をするには、地域福祉の現状を理解し、地域住民の特性を踏まえた支援の方法を考える能力が必要だ。 ○○大学社会福祉学部社会福祉学科を志望した最大の理由は、高齢者の社会的孤立を測定する方法を研究分野としている△△教授から、 私が考える見守りシステムについての助言をいただけることである。もちろん、 社会学と社会福祉学の観点から地域福祉について体系的に学べるカリキュラムが備わっていることも魅力的だ。

 私は社会福祉の担い手として高齢者を支え、方々の生活の質を高めていきたいと強く願っている。 

さとう
さとう

これも一見すると小論文のようにも読めます。しかしそこには、自分なりの分析と解決方法がしっかりと述べられており、そのために貴学へ入学したい意思も書かれていますね。

 

芸術学(「芸術が好き」ではなく、究めたいことを具体的に書く)

 私は役者をやっている。 役者というのは、 脚本家や演出家が求める役を演じきることが求められる。 だが、要求どおりに表現することは難しい。ましてや古典的な作品に取り組む時には、脚本家の意図を問うこともできない。 私は大学で演劇作品の内に潜む脚本家の意図を探り、感情表現に活かす演技の研究に挑戦していきたい。

 たとえば、悲しさを演じる時、その感情そのものを考えても、再現することはできない。再現しようとしても自然に演じることができない、ともいえる。 過去に経験したことや発言したことをもとに、 それを真似することはできるが、その経験がないと模倣すらできない。結局は、実験的に演じながら模索することになるが、 古典的な作品に取り組む時にはそれすら難しい。 たとえばシェイクスピアやモリエールの作品の場合、当時と現代の価値観にずれが生じ、当時の人々が抱いた感情を表現することは困難である。たしかに、そうした時に自分に起こり得る感情に置き換えて演じることはできる。しかし、それでは作品を正しく表現したことにはならない。それよりも、演出家が作品の意図を探りつつ、いかにその作品の時代に即した表現を行い、役者に伝えるのか、ということを考えるべきだ。私は作品の正しい理解と表現のために、 作品や脚本家の社会的・心理的・時代的背景を探り、演劇に活かしていきたいと考えている。 

 そのためには、演劇実習が充実しているだけでなく、演劇史や作品研究を行える場が必要だ。 ○○大学芸術学部演劇学科は、そういったことがすべて適う。 舞台総合実習や演技実習が充実しているだけでなく、 近代演劇史と演出論を専門としている△△教授に、作品の解釈についての教えを乞えるのが非常に魅力的である。舞台の基本も学べ、作品に真正面から向かい合うことができるのは、他の大学ではなく貴学である。

 将来は大学で刺激し合う仲間とともに学び、 よい演劇をつくり上げ、 後世に伝えることができる役者として活躍したい。 

さとう
さとう

この志望理由書は「自身の経験」によるところが大きいですね。すでに役者をやっている経験はなかなかありませんね。「高校の授業」や「好きな作品の解釈」などを通して、課題を見つけていきましょう。

全てに共通する、ある一つの「型」

今回紹介した志望理由書は、以下の「型」に沿って書かれています。

STEP①
大学で研究したいこと

STEP②
その研究を希望する動機・理由

STEP③
その大学を選択する理由(上記のことができるのは貴学のみ)

 

STEP① 大学で研究したいこと

ここでは「自分が目指している職業の社会的な課題」を明確にした後、「それを解決するために大学でどんな研究をしたいのか」ということを述べます。
※目標を述べて、やりたいことを書いても構いません。

なるべく具体的に(世間一般で言われているような抽象的なことではなく)、自分の目指す職と直結するような課題・問題点を挙げるように意識しましょう。

そして、その課題を解決するためにはどんなことが必要で、何を研究しなければならないのか、を言及します。ここの実際に目指している大学が力を入れていることや研究者がいることを事前にリサーチしてから、大学にマッチしているように書きます。(テクニックですね)

STEP② その研究を希望する動機・理由

ここにはまず、自分の経験・体験を書きます。「どんなことがあってその研究に興味を持ったのか」「やりたいに至ったのか」を述べましょう。同じ職を目指す受験生は大勢いますが、この体験・経験がオリジナルの志望理由書にしてくれます。

さらにそのことに関する自分の考え・意見を述べましょう。「その経験・体験を通してどう考えたのか」「何を学んだのか」など、単に経験しただけを述べるのではなく、一歩深く考察してみます。

そしてその結果、「やはりこのような研究が必要」なことや「こうすれば解決に近づく」ということを述べます。再度、その研究をする理由を述べていきましょう。(STEP③にも繋げやすくなります。)

STEP③ その大学を選択する理由

STEP②で述べたことから続くように、「そのような研究・学びができるのは貴学である」ということを述べます。ここも「大学研究」がとても大事になります。今まで述べてきたことが、その大学でできないと意味がありません。さらにその研究がその大学の「売り」「力を入れている分野」だと、なお良いですね。

大学研究としては、「大学のカリキュラム・大学の教授と論文・ゼミ・研究施設・特別講座」などを調べます。単にパンフレットやホームページを見ただけでは情熱が伝わりません。「ここまで調べて研究して、自分とマッチしているので入れてください。」ということが伝わる志望理由書を目指しましょう。

最後は「今後の目標・抱負・成し遂げたいこと」などをまとめて終わります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました