合格できる志望理由書の見本〜理系編〜【学部別の見本を参考に完成へ】

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大学入試について
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建築学・土木工学(建築士や技術者への憧れだけではなく、課題点に注目する)

 急速に進行する高齢化に対応するため、 バリアフリー住宅や高齢者住居など、様々な住まいが新たに提案されている。 しかし、 高齢者の家庭内事故が起こるような古い設計や設備の住宅も未だに多く残っており、これらが問題視されている。高齢者にとって理想的な住まいを提案するためには、事故を建築学の力で防ぐ方法を研究しな ければならない。 私は、建築計画学の視点から家庭内事故の原因追究と安全計画の立 案を行い、高齢者の自立的な生活を支援したい。

そう考えたきっかけは、後期高齢者である私の祖父が自宅で転倒したことである。原因は、家の設計が社会的弱者の身体機能を把握した上で設計されていなかったからだと考えた。後期高齢者は、平面を歩く場合でもつまずいたり支えが必要だったりすると想定しておけば、床材の選択や手すりの設置を検討できたはずだ。 事故が発生してから設計の問題が明らかになるのでは遅いのだ。 だから私は、事故を想定した設計を支援する仕組みを研究していきたい。たとえば、年齢や障害と家庭内事故の関係をデータベース化し、設計に活用してもらうことを考えている。この研究は、建築士だけでなく、介護や保育の現場でも活用できるに違いない。 よって、 高齢者をはじめとした多くの社会的弱者の自立を支えることにつながると考える。 

 こうした目標を実現するためには、建築計画や意匠だけでなく、人が快適に過ごすための環境づくりという視点から住宅設計のあり方について考える必要がある。貴学では、居住福祉学の観点から高齢者住宅の設計技法について研究している△△教授より、データベース化への教えを受けられる。 また、建築設備学や人間工学など、人と建築との関わりを考察する基礎的な学びも得ることができる。

 私は大学院進学後、 1級建築士として活躍したいと考えている。 高齢者の生活の質を高めるため、 大学での学びを大切にし、これからも精進していきたい。

さとう
さとう

「こんな家に住みたい」などと個人の都合を優先した志望理由書はNGです。かならず社会貢献を意識しましょう。そのためには現状の課題を分析し、それを解決できたら社会貢献へとつながります。

 

医学・歯学・薬学(「患者を助けたい」の熱意だけで終わらせない)

 人間は誰しもが健康であることを望んでいる。 しかしながら、治療が困難な疾患によって苦しむ患者が存在する。 私もアレルギー疾患で苦しんだ時期があるので、 生活が制限されるつらさは痛いほどわかる。 こうした人々を苦しみから救うため、私は臨床の現場で内科医として活躍し、 治療が困難な疾患の治療法を内科学の視点で研究していきたい。

 たとえば、慢性疾患の中には原因が不明であり、 根本的な治療が行えないものがある。私の祖母が罹患している関節リウマチは、白血球が病態に関係しているとされたり、遺伝的要因や感染が原因であるとされたりし、原因が定かではない。 また現在、リウマチの治療法の中心は薬物治療であるが、この方法では進行を遅らせることはできても、根治はできない。 こうした難病を根治するには、 原因を突き止めた上で治療法を探る必要がある。 私は、その核となるのが内科学であると考える。 リウマチであれば、炎症を引き起こす物質や原因となる遺伝子を医療機器で探り、適切な薬を見つけて治療法を確立する。 内科医は、疾患の原因を突き止める最前線にいるものだ。 適切な治療法を見つけることで、患者の生活の質の向上にもつながるだろう。

 そうした取り組みを実現するためには、 内科学だけでなく、 様々な診療科の視点から病気の原因追究と治療法を探る環境に加え、医療人としての倫理観や技術を学び取る場が必要だ。 ○○大学医学部医学科では、内科学系を中心に難病の治療法を数多く研究しているだけでなく、 臨床各科の知識修得から実習に至るまでのカリキュラムが 体系化されている。これらのことで、 私が内科医になるために必要な能力が十分に身 につくと確信した。

 私は、貴学で修得した先進医学を日本で役立たせるように努力したい。そして将来は、疾患を抱える人々の生活が豊かになるように、 医学の力で支援していきたい。

さとう
さとう

自分がどういう専門分野を身につけ、どのように患者さんと関わっていくか・役に立てていくのかを述べられているので、合格できる志望理由書になっています。
よくある「身内が病気になりお医者さんが助けてくれたから」という浅い理由になっておらず、深い考察ができています。

看護学(どのような患者を、どのような研究や医療衛生学研究で救いたいのか)

 日本には難病を抱える子どもが数多く存在し、長期入院を余儀なくされている。だが、これらの入院生活において十分なケアが行き届いているとは言いがたい。 彼らがより幸せに生活するための支援をするには、最も長い時間触れ合うことになる看護職のケアが鍵となる。私は小児看護学の学びを通して、病気で苦しむ入院中の子どもを支える方法を研究し、小児専門の看護師として活躍したい。

 そのように考えたのは、看護職に関わる親族から小児病棟の現状を聞き、その話をきっかけにして小児看護の現実を自ら調べたことが背景にある。 最も大きな問題だと思ったのは、難病の小児患者の入院生活に制限が多いことだった。 家族と触れ合う時間の少なさ、治療の負担の大きさ、活動範囲の狭さなどにより、病棟の子どもたちは 多くのストレスを抱えて生活している。 そうした子どものストレスを解消する方法を考えるのが、小児看護研究の役割だと考えた。たとえば、子どもへのインフォーム ド・コンセントの検討、保護者のフォロー、子どもへの労いといった医療の側面だけでなく、ケアの中に遊びの要素を取り入れるなど、子どもが生き抜く上で必要な環境を看護学の視点で整えることなどだ。 完治が難しい病気を抱えた子どもであっても、 そうした看護師の全人的ケアは彼らが幸せに生きる手助けになるのだ。

 小児看護に携わるためには、子どもの特徴を踏まえて観察する能力、子どもの権利を尊重した関わり方ができる能力、子どもが理解できる言葉での説明をする能力、安全を保つ気配りなどが必要である。 これらは、 ○○大学看護学部看護学科で学べる。 たとえば、小児看護学援助論や小児看護学活動論、 実習などを通して子ども特有の行動や心理、看護技術を総合的に学び、ケア研究に活かすことができる。将来、看護師として医療現場に求められる能力が着実に身につけられるのが貴学なのである。

 私は貴学で得た知識や技術を活用し、創造的な思考を巡らせながら、 将来は小児医療の現場で活躍したい。

さとう
さとう

「患者に寄り添って」「家族にも配慮して」などで終わってしまいがちな「目指す看護師像」ではなく、とても具体的に自身の研究とその活用方法が書かれているので合格できるレベルになっています。大学とのマッチングもできていますね。

リハビリテーション学・理学療法・作業療法学(仕事の魅力だけではなく、研究内容とその実践を論じる)

 スポーツには、けがや故障がつきものである。 アスリートたちは、けがをすると日常生活においても制限を強いられる。 このような苦しみを軽減するには、スポーツによるけがを分析し、 より適したリハビリテーションの方法を探ることが欠かせない。 私は、競技者に求められる機能を種目ごとに分析し、それぞれに対応した理学療法を開発していきたいと考えている。

 そう考えたのは、高校2年まで野球部に所属し、ピッチャーをしていた自分自身の経験による。 私は野球部の時、度重なる右肩の関節唇損傷に悩んでいた。当時、投球の際に起こる痛みや違和感の解消のために取り組んでいたのが、肩のぶれを最小限にする機能訓練であった。 肩甲骨の周りの筋力を高め、腱板訓練を行い、関節唇を支える筋力を整えていったのだ。 当時の私のように、慢性的な健康障害を抱えるアスリー トを支えるための切り札になるのが、 理学療法だ。 ひとえに理学療法といっても、 スポーツによって負担のかかる部位や使用頻度も異なるので、回復が必要な機能は異なる。 私は、様々なスポーツでの身体の動きを分析し、最も回復を求められる機能を想定した上で、適切なリハビリテーション方法を開発していくべきだと考える。その成果は、選手生命をより長くするだろう。 さらに、症例とリハビリテーションの手法を増やすことによって理学療法の分野の発展にも役立つと考える。

 こうした取り組みを行うためには、 疾患による障害を抱える人々への理解と、そうした痛みや苦しみを軽減する理学療法を考察できる力が必要だ。 ○○大学医療衛生学部理学療法学科は、低年次から段階的に傷害に対応する治療法を学ぶことができ、さらに、リハビリテーション方法の開発をスポーツ界および近隣の医療機関と合同で取り組む環境も整っているので、私にとっては最適だと考える。

 卒業後は、スポーツ 障害の機能改善に長けた理学療法士となりたい。そして、臨床の現場で新たな理学療法を開発し、私を育ててくれたスポーツ界への恩返しをしていきたいと考えている。

さとう
さとう

よくある自身の怪我の体験ですが、とても具体的に書かれているので1段階上の志望理由になっています。「具体的な怪我の症状」から、「何が必要になるのか」の意見まで、合格できるレベルで欠けていますね。

農学(幅広い研究のできる農学で、具体的なテーマを決める)

 「秋ナスは嫁に食わすな」という言い伝えは、ナスには体を冷やす機能があることを示すものだという説がある。このように農作物には様々な機能が備わっているが、 科学的に解明されていない機能も数多く存在する。 私は農作物が持つ機能を植物遺伝育種学の視点から探り、健康を支える役割を担っていきたいと考えている。 

 私は、□□県△△町で農業を営む両親のもとに生まれた。 家ではおもにソバやキビ、アワといった雑穀の栽培をしているが、昨今、雑穀の価格が上昇しているという。それは雑穀が機能性食品として認められたからだ。 抗酸化や血中コレステロールを下げる機能を持ち、さらに、アレルギー性疾患や大腸がんを防ぐ可能性も秘めていると言われているのだ。 こうした機能を見出すことは、農家が育てた野菜の価値を高めることにもつながる。 たとえば高知県はニラの名産地であるが、 近年では香気成分に抗ピ ロリ菌機能があることが明らかになったという事例がある。

 私は、農学においての成分分析や遺伝子解析を通して、農作物の新たな機能を発見したい。特に、△△町の特 産物であるピーマンを研究材料としたい。 今後は高齢化による農業の衰退が懸念されているが、こうした付加価値を農学研究で見出し、農業の活性化につなげたいと考えている。

 この研究を達成するためには、農作物の栽培原理を学ぶとともに、 バイオテクノロ ジーの視点から農作物の生産を考察する能力が必要となる。 ○○大学農学部植物生命科学科では農作物の遺伝子解析を専門とする植物遺伝育種学研究室があり、私が望む研究を行う環境が整っていることが、 最も魅力を感じる点である。 また、遺伝育種学や植物生産科学、植物病理学などの基礎教育が充実しており、体系的に能力を身につけられるカリキュラムが整っていることも、志望した理由の大きなところである。

 私は貴学での研究を通して、 農業のさらなる活性化を目指すとともに、人々の健康づくりにも役立つ人材になりたいと考えている。 

さとう
さとう

研究機関である大学で、「何を研究したいのか」「それをどう社会貢献に繋げるか」ということが、合格できるレベルで書かれています。とくに「成分研究が付加価値を生み、農作物の価値を高め、地域や人々の健康に役立つ」という流れは、とても上手です。

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パスナビ(河合塾)
学部学科のことや合格最低点、偏差値や総合型・推薦型・一般の情報がまとめてあります。

獣医学・畜産学(動物が好き、ではなくどんな専門分野の研究をしたいか明らかにする)

 動物を大切な伴侶として接する人は数知れず、 彼らは動物とできるだけ長く過ごしたいと願っていることだろう。 しかしながら、 いまだに原因が解明されていない疾病で、大切な動物と別れざるを得ない人が多い。 そうした動物の健康を保ち、動物の尊厳を守るため、私は貴学で獣医師を志すとともに、 獣医病理学の視点から未解明の疾患の原因を見つけていきたいと考えている。

 私は小学校2年生の時から馬術を始めて、今年で10年目になる。 私が獣医学の道を志したきっかけは、一頭の馬との出会いと別れである。 今年の2月、私のパートナー である馬を原因不明の呼吸器疾患で失った。 亡くなった当時は、予兆に気づけず何もできなかった自分を責めたものだ。 一方、馬の呼吸器疾患の診断方法が未成熟であることも原因であったと考えている。 呼吸器疾患については、現段階では病状を見ながら聴診での診断や内視鏡検査をするくらいしかない。そのほかにも、診断方法が確立していない疾患は数多くある。 そして、 このように病態が明らかではない疾患は、診断自体が獣医師の経験に基づくものでしかないという点が問題だ。 私は大動物の獣医師を志しており、おもに病理学の知見をもとにして疾患の原因を探っていきたいと考えている。 疾患の病態が明らかになれば、 検査・診断方法の確立に役立つ。そして、その成果により動物を延命することができれば、 生涯の伴侶として動物と接する 人々に貢献できるのではないか。

 そうした研究を進めるには、獣医学の基本のみならず病気の原因や病変の成り立ちを探る能力を徹底的に身につける必要がある。 私が○○大学獣医学部獣医学科を志望したのは、様々な大動物の病態研究を進めている病理学研究室があるからだ。それ に加えて 病気・病態の理解、理論と技術の習得に力を入れており、学生の臨床の知識を高めようとしている点も魅力的だ。 貴学で多くの知見を得たのちに、将来は信頼のおける獣医師として活躍し、 獣医学の発展に寄与することを切望する。 

さとう
さとう

大切な動物との別れの経験から、問題点を挙げ、その解決に尽力したいという「志望理由の型」通り上手にまとめられています。その分野の知識があることも伝わってくる、合格できる志望理由になっていますね。

海洋科学・水産科学(海洋生物への興味関心だけでなく、どのような専門分野の研究をしたいか明らかにする)

 近年、クラゲの大量発生が我々に深刻な被害を与えている。 大量発生により、刺し網にクラゲが絡まったり、 発電所の取水口付近にクラゲが溢れて詰まったりするのだ。 しかしながら、なぜ大量発生するのか、 原因はいまだに解明されていない。 私は海洋生物資源学の視点からクラゲの生態研究を行い、 大量発生のメカニズムを突き止めたいと考えている。

 私がクラゲの生態について研究したいと考えたのは、小学生の頃である。クラゲの泳ぎ方や容姿がユーモラスで不思議に思い興味を持ったので、 様々な種類のクラゲの生態について、本やウェブサイトを利用して調べていた。そして同時に、日本をはじめ世界各地でクラゲによる被害が多数起きていることも知った。 最近の日本で被害を及ぼしているのは、東京湾で大量発生しているミズクラゲ・エチゼンクラゲの2種類である。 これらのクラゲの生態も大量発生の原因もよくわかっていないが、 人による栄養汚染で発生した赤潮や、 魚類の乱獲などが影響しているのではないかと考えられている。 現在では高解像度映像を用いるなど、 生態研究をする方法も進化しつつあるがいまだ謎は多い。 未解明のクラゲの生態を明らかにして大量発生の原因やメカニズ ムがわかれば、海洋学の発展に寄与できるだけでなく、 クラゲによる企業や漁業関係者への被害も減少するだろう。

 私は、クラゲの大量発生による被害を食い止めるためにクラゲの生態を解明したいという強い思いを持っている。 それを実現するために選んだのが、○○大学海洋科学 部海洋生物資源学科だ。貴学には、クラゲの大量発生や生態についての研究を中心にされている△△教授の研究室がある。さらに、海洋の環境と人が排出する汚染物質との関わりや、環境の変化が海洋動物に与えている影響を学ぶ講義が充実している。私は将来、クラゲの生態の研究を通して、 海洋生物が人や社会に及ぼす被害を食い止め、 人々の生活に役立ちたいと考えている。

さとう
さとう

最終的な仕事へは繋がっていませんが、具体的な専門分野を明らかにして、どのような研究がしたいのかが、しっかりと書けています。合格できるレベルのオリジナルな志望理由書になっています。

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