日々の宿題や、受験の際に、「自分から勉強する子」であれば親御さんも苦労しませんよね。
お子様へ「勉強しなさい」と言いつつ、実は「ご自身が子供の時には親から同じように言われていた。」
なんて方も多いのではないのでしょうか?
自分が失敗してしまったから、せめて子供には同じ体験をさせたくない。勉強していた方が何かと有利になる社会だし。
親になると親目線でしか勉強に対して考えられなくなるのよ。自分も勉強嫌いだったのに、自分の思いを優先させてしまうわ。
私自身、19歳と17歳の子供を持つ親です。(2022年現在)
しかし本当に「勉強しなさい」とガミガミ言葉で言ったことはあまりありません。
できるだけ自分から勉強する(行動する)子に育ってほしいという意識で常に子育てをしてきました。
その中で、良かった部分も悪かった部分もありますが、
「目指す子育て像」があると、「どのような家庭環境を作ればいいのか」、「どう接すればいいのか」が分かりやすくなります。
さらに私が11年間教育関係の仕事で進路指導をしていく中、家庭での親と子の関わり(家庭での仕掛け)がとても重要であることを痛感しました。
子どもが親の影響をとても大きく受けるのは「小学校3・4年生」までです。
いろいろな受験生とそのご家庭を見てきたさとうが、目標を達成した「自分から勉強する子」に共通していた家庭環境の【仕掛け】をまとめました。
この【仕掛け】をしているご家庭は「自分から勉強する子に育ちやすい」傾向にあり、最終的に志望校への合格も見えてきます。
取り入れられる所からやってみるだけで、今までと少し変わってくると思います。参考にしていただけると幸いです。
仕掛け①「家庭内の生活環境」
家庭で様々な仕掛けをすることにより、「お子様の学習意欲や知的好奇心の向上」、「学習の効率化」ができます。
全ては「目的に対しての意図的な行動」が大事になります。一つでも多くの仕掛けを作っていきたいですね。
【家庭の本棚を充実させる】
本棚が充実していると、自然とお子さんも本や学問に興味を持つようになる傾向があります。本棚の充実は家庭環境の向上の一つになっています。
難しい本ではなく、世の中の出来事への問題意識や興味関心のある分野の本などで構いません。
テレビやネット動画の話題だけではなく、リビングで本の話題が自然に出てくる。
子供が勉強している側で、親御さんが本を読んでいる。
本を読んでいる親の後ろ姿を見せるだけでもいいです。
➡︎まだ見ぬ世界への知的好奇心を刺激するような仕掛けが大事になります。
【テレビ・ネットのルールは家族みんなで共有する】
テレビやネットは受け身のメディアです。画面に何かがずっと映っています。見続けているとどうしてもダラダラと時間だけを無駄に過ごしてしまいます。
そこでルールを作りますが、「1日〇〇時間」は悪い方法です。
おすすめは番組表を開き「1週間で見たい番組を決めさせる。」方法です。そして決めたら守らせることです。
「決めたことは守る・自分を律せる」ようにならないと、コツコツ努力することが勉強の王道ですが、それができなくなります。
これは親御さんも同じですね。子供には「見ちゃダメ!」と言いながら、自分達はテレビやネットを見ていてはおかしな話になっていまいます。
まずは親御さんが行動で示すことで、お子さんも理解してやってくれるのでしょうね。
【学習させるときは「リビング」が鉄則】
一度は聞いたことがあれかもしれません。特に小学校卒業までは「どこで勉強させるか」が学力に大きく関わってきます。
親御さんはお子さんと同じ目線で、「育む」イメージをもって接すると効果的です。
リビング学習法はとても学習効果が高いです。
➡︎小学生が1人の部屋では集中はできませんよね。リビングがいいです。
➡︎リビングの方が、時間のコントロールができて集中させやすい。
➡︎リビングの方が、疑問質問をすぐに聞ける人がいて効率的。
【新聞記事をいつでも置いておく】
「興味関心がある・知りたい」という欲求が人を動かします。本来人間は知的欲求を持っているもので、お子様にもあります。
多くは「ゲームの攻略を知りたい」などが優ってしまいます。
しかし、日常的に「社会への関心のトビラ」=「新聞記事」を置き、少し読んで疑問が生まれれば、それらをもとに自分で勉強する可能性が高くなります。
置いていないと、その可能性すらないですね。
新聞記事・ネット新聞記事のコピーなどを日常的に置いておけば、新聞を話題に会話することもできます。
新聞丸々ではなく、記事の一部のコピーでも構いません。
コピー機でネットの記事の一部を紙にして置いておくことが、最初はおすすめです。(紙であることが大事)
今は新聞をとっていないご家庭も多いと思います。
そのような場合は、ネットでまとまっているニュースなどをコピーして置くだけでも効果的です。
仕掛け②「親子の関係」
【子供と同じ目線で寄り添うように声をかける。(共感する)】
教育熱心な親御さんほど、「こうあるべきだ・こうしなければならない」という意識が強く働き、子供へ一方的な押し付け・上から目線の教育となってしまいがちです。
それではいうことは聞きますが、「恐怖政治・独裁政治」と同じです。
自分で考えられないので、「本番にとても弱い子」となります。
➡︎まずは「褒める」「認める」「共感する」を実践しましょう。
➡︎「できる」or「できない」、「合格する学力」or「合格しない学力」のように「二者択一」で考えないことです。ほとんどのお子さんは、そのどちらでもない「グレーゾーン」にいます。できる所もあれば、できない所もあります。
合格する学力を受験勉強中に達成しているお子さんは少ないです。「たいていが努力すれば合格する学力だが、まだ足りない。」という位置にいます。グレーゾーンですね。
このように、二者択一は視野をものすごく狭くします。ほとんどの(受験)勉強は、二択の考え方で解決できるほど簡単ではないです。
【親子の共同作業を多くする】
・(子ども)部屋の片付けです。
これは、お子さんと一緒に行うといいです。できるだけ親御さんはサポートに徹することです。
そして「きれいにする」という目的で片づけするのではなく「子供が整理整頓の練習をする」という目的で片付けをすることが大切です。
整理整頓能力は、記憶力ともつながり、ひいては学習能力ともつながります。
「✖️片づけ」⇨「◎整理整頓」の意識で、お子さんをサポートしてみてください。
【一緒にカードゲームやボードゲーム、知育玩具で遊ぶ】
SwitchやPS5、タブレットなどで遊びたくなりますが、グッと堪えて「教育効果がとても高い」上記の遊びをすることをお勧めします。
➡︎「神経衰弱・七並べ」「五目並べ・オセロ」「将棋・囲碁」「知育玩具の立体四目並べ」「知育玩具のラッキーパズル」
➡︎一緒に遊ぶ際は、手加減をしないことです。もちろん工夫しなければ(勝ち続けると)自尊心を潰しかねないので注意が必要です。しかし、伸びる子に育てるためには、「すぐに諦める・説明を求める」子どもより、「あきらめないで食らいつく・自分で考える」子どもです。
あまり手加減をせずに勝って、子供の競争心に火をつけてあげてください。
【一緒に料理をすることは、最高の学習になる】
➡︎「自分のことは自分でする時が来る」という意識を持たせられます。
➡︎「ゼロから何かを作り上げるという達成感」を味わうことができます。
➡︎「包丁で野菜を切って、図形問題への理解を深めておく」ことができます。
大人では当たり前に想像できることが、子供は難しいのです。
例)ようかんを角から斜めに切り続けると切り口の形はどう変化していくのか?など
【手伝いは子供なりに考えさせながらやらせる】
「手伝い」と言いながら、これをやると実は親御さんの負担が増えます。できない(慣れていない)のだから、時間がかかって当たり前です。
しかし、それを理解した上で「考えさせながらやらせる」ことができると意味が出てます。
オススメのお手伝い
●配膳
●あと片づけ
●風呂(浴槽)洗い
●ゴミ出し
簡単なものばかりですが、「任せる」ことで「責任」が芽生えます。「これが自分の役割」という意識を持ったら、「より効率的に工夫できることはないか」を考えさせます。
厳しい受験を突破するには、勉強を自分で考えて工夫することが大切になります。
将来のためにも、早くから訓練を行うことが大事です。
【我が子の個性や学力に気づかないふりで子供を成長させる】
お子様との距離感というのはとても難しいものです。さとうが進路指導の面談や家庭訪問をする中で、多いなと感じることが多いのは以下の2パターンです。
1 べったり近づきすぎ
2 放置とまではいかなくても、離れすぎ
このどちらかが多いです。
そして離れすぎよりも「近づきすぎ」の方が問題となります。
➡子供を「過小評価しすぎ」か「過大評価しすぎ」かという問題です。
これは「テストの点数だけで子どもの学力を測っている」ことが原因で起こります。
過小評価・・・一つの物差しだけで見るのではなく、複数の視点で子供を観察してみる。
過大評価・・・知識だけが一時的に身に付いている可能性があるので、自分で考える(なぜ?どうして?)ことをさせ、本当の学力を見てみる。
親子の距離はとても難しいです。お子様のタイプによっても異なります。近づかなければならないお子様もいるでしょうし。
お子様の特徴をしっかりと見定めて、適切な距離感を常にとれるよう意識することですね。
【子供へは絶対的な信頼を寄せる】
なかなか勉強しないと「早くやりなさい」とついつい言ってしまいますね。
特に受験に関して自分の成功体験を持っている親御さんは自分の成功したやり方をお子様に強要する」傾向にあります。
学び方は人それぞれです。お子様も例外ではなく、同じ人間でもない限り同じやり方で伸びるということはありません。
➡「やらされる勉強」から「自立思考」の意識へ。間違いを減点する考え方ではなく、正解に加点する考え方が大事です。仕事も勉強もモチベーションを高めるのに欠かせないのが、良い所に目を向ける姿勢です。お子様を信頼し、良い所だけをまずは見ましょう。
悪い所を指摘して正したいのは、当然出てきますが、まずはお子様を信頼してよい所を伸ばす教育が優先です。昨今流行りの「ほめて伸ばす教育」も同様ですね。
仕掛け③「言葉かけの仕方」
コミュニケーションの基本は言葉です。この言葉をどのように選んでお子様に伝えるかで、勉強へのモチベーションが変わります。
「自分から勉強する子」に育てるためには、いかにモチベーションを高める仕掛けができるかにかかっています。
できていない所を伝える・叱ることしかしていないかも・・・
こちらのペースに合わせさせちゃうことが多いわ・・・子供の時間(ペース)を考えていないかも。
【明日が楽しみになる言葉かけ】
自分から「やりたい」と親から「やりなさい」ではモチベーションの差が歴然ですね。
「自分のため」として自覚すると、やらされ感は無く成績も上がっていきます。
➡一つの方法として、「次が楽しみになるような言葉かけをし、期待させる」ことがあります。
楽しみなことには積極的になりやすいですよね。常にできなくても何かしらの楽しみを抱ける言葉かけをすることが大事になります。
【明るいあいさつで前向きな気持ちを育む】
教育関係職で働いていると「挨拶の重要性」を本当に感じます。
もちろん小さいうちは内向的な性格の子供であったりと、一概にあいさつをしないことが悪いとは言えません。
しかし、中高生となり受験を迎える年齢であればあいさつは「できて当然」のこととなります。
挨拶は言葉のキャッチボールです。「こちらが投げたボールを投げ返してくれない=言葉(気持ち)を受け止めてくれない」
挨拶を返さない(しない)ことが、相手をどんな気持ちにさせるのか考えられないようでは成績も上がりません。
また、挨拶ができない子は自分から質問に行けない子でもあります。
これは受験にとっては大きなマイナスですね。
このように挨拶はとても重要なもので、その基本は家庭での明るい挨拶や親子のキャッチボールで身に付きます。
大人からすると簡単な挨拶や会話です。しっかりとお子さんを巻き込んで「一種の訓練」だと思って意識してみてください。挨拶は家庭での教育が一番です。
【親子の会話(言葉かけ)で意識的に取り入れたいこと4選】
①肯定的な言葉で子供のやる気エンジンを動かす。
人は褒められればどんなことでも嬉しくなります。肯定的な言葉・前向きにさせる言葉を浴びせます。
②子供には単語ではなく文章で話しかける。
有名な話ですが、意識しないと忘れてしまいます。文章にするコツは「主語と述語をちゃんと入れる」ことです。
③難しい抽象的な言葉をあえて使う。
難しい言葉を使いすぎると「よくわからない話をしている」となってしまいますが、前後の文脈から読み取れそうな所で難語を使い想像力を鍛えます。
④子供に気づかせる発言を狙う。
こちらが答えを言うのではなく、子供の方から「間違えていてもいいので」答えを言わせる会話の流れを作りましょう。
その際。最終的に答えが出ず「なぜ?」になったら、最初は一緒に不思議がることから始めます。
じれったいと感じると思います。しかし「子供の学び」とは時間がかかるものです。すぐに解決させるのは高3受験生や大学生になってからで十分です。
仕掛け④「学校・塾の利用方法」
まずは、前提としてお子様が「自分から塾に行きたい」と言ったらその週には入塾するくらいのスピードで動いてください。
「うちにはお金が」とか「自分で勉強できるんじゃないの」などのように否定的な言葉だけで行かせないことはNGです。
後回しにすると当然やる気を無くします。どんなことでも自分から動いたことには肯定的に返すことが鉄則です。
塾は月謝が高い所もあります。しかしうまく利用しまくると、かなり成績伸びます!
動こうとしているならチャンス、これを逃さないことが鉄則
ただし、そのためにはお金が大事になります。
ある程度の年齢(小学生)になったとき、塾や習い事にお金を回せるくらいの余裕を持っておきたい所です。
塾が高くて厳しそうであれば、進研ゼミ(チャレンジ)・スマイルゼミ・Z会・書店で買える参考書(テキスト)などを逆に提案してもいいですね。
(その際、お金がないからだと言うことははっきりと伝えた方が子供のためです。小学生でも)
さて、受験が近くなると、受験のために塾に通う人も多いでしょう。
私自身「塾と学校」の両方の先生をしていました。そんな塾(と学校)のおすすめ利用方法をまとめてみました。
- 早めに教室へ行く。
学校でも塾でも早めにいくと先生たちが待機しています。他の生徒はあまりいません。先生たちに質問し放題です。相談し放題です。 - 教材以外にプリントや資料などを積極的にもらいにいく。
「もっと勉強したい、もっと知りたい」という生徒には応えてあげたいのが先生という職業です。積極的にそこを活用しましょう。 - 親御さんがお子さんの情報を逐一伝えておく。
「迷惑ではないか」等とは思わずに積極的に先生とコミュニケーションを取ってください。
教員側も言われないと分かりませんので、「うちの子には、こうしてほしい・こう成長してほしい」というような要望があれば積極的に伝えておきましょう。
高いお金払っているので、丸投げではもったいないです。塾からしたら素人ですが、お子様の教育のプロは親御さんですからね。 - 学校の図書館や塾の資料室を積極的に利用する。
大抵の本はあいてあります。両方を活用すれば新たに本を買う必要はありません。高校や大学の情報誌などは、1回しか読まないものです。
買うのではなく「借りてくる」意識を持ちましょう。
まとめ
以上が「自分から勉強する子の育て方」家庭でできる仕掛け、についてでした。
基本的には幼少期からの積み重ねで下地が出来上がります。
・仕掛け①「家庭内の生活環境」
・仕掛け②「親子の関係」
・仕掛け③「言葉かけの仕方」
・仕掛け④「学校・塾の利用法」
これらを意識することで少なくとも「自分から動く」ようにはなります。
初めから自分で動けるお子様はとても少ないです。
大抵は勉強を後回しにしてしまったり、勉強が好きではなかったりします。
しかし、そこからがスタートです。
どういう働きかけをすればどんな反応になるか。どう影響するのかをお子様の間近でみられるのは保護者の方だけです。
子供は大人の関わり方次第で、どんな方向にもいきます。
まずは自分から動けす子供に育てるために「仕掛け」をたくさん施してみてください。
読んでいただきありがとうございました。
何かご質問などございましたら、下記のコメント(メール)にてご相談ください。
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