小論文ってそもそも何?作文とは違うの?書き方が全くわからない。。。
総合型にも推薦型にも「小論文」が必ずあるんだけど、一回も書いた事ないし。。。対策って何があるの?
結論を言いましょう。
書き方は決まっていますし、対策をやらないと書けません。
各教科の勉強と難しさは変わりません。どちらが楽とかはありませんね。
大学入試を考えた時に、まず悩むのが「一般選抜」で受験するか「総合型選抜・・学校推薦型選抜」で受験するか、の2つですね。
※総合型選抜と学校推薦選抜についての詳細はコチラの記事で紹介しています。
総合型にせよ、推薦型にせよ、今はほぼ間違いなく「小論文」があります。その対策は長時間必要になります。3年生夏以降に対策しようとしても「手遅れ」です。
この記事では、大学入試改革でますます重要視されてきている「小論文」の書き方と対策をご紹介します。明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学や地元国公立大学まで幅広く活用できる方法です。
【結論】
・小論文とは「自分の意見とその根拠を証明」するもの。
・小論文には「型」がある。まずは「型」を身に付けることから始める。
・「社会背景」を中心にお題が出される。
小論文とは?
「作文」と「小論文」の違い
「作文」とは「自分の思い」を書くものです。その時に感じたことや思ったことなど「感情」を中心に書いていきます。
起こった出来事に対して自分の「感想」を書いていくものですね。
自分の「思い」が中心なので、「特定の誰かに向けて書くもの」ではありません。
それに対して「小論文」とは、あるお題に関して「自分の意見」=「自分の立場(賛成or反対)」を決めて書くものです。
そしてその「立場」の根拠(理由)を述べていきます。なぜ自分がその立場を取るのか、を相手に伝えていきます。
相手に伝えるためには、「分かりやすく」書く必要があります。分かりやすく書くためには「論理的」でなければなりません。
「論理的」とは、話の「筋道(道のり)」をしっかりと作るということです。「具体例」を入れたり、「対比(反対の意見)」を入れたり、文章の「型」を使ったりすることです。
【例文】 〈自分の意見=立場〉 私は電車の中での飲食には反対である。 〈根拠・理由〉 なぜなら、電車の中は公共の場だからである。 〈具体例〉 例えば、病院や図書館と同じである。病院や図書館でも自分勝手な行動は許されていない。同じように、公共の場である電車の中にも多様な人が乗っていると考えられる。自分と同じ考えを持っている人だけではない。さらに自分と親しい関係にあるというわけでもない。 〈対比〉 確かに、電車の中で景色を見ながらお弁当を食べたい人もいるだろう。友人たちと談笑しながら食べることは楽しくもあるだろう。 しかし、公共の場である電車の中で、自分たちのことだけを考えるのは良くない。その周りには多くの他者が存在する。例えば、食べ物のにおいは他者に大きな影響を与える。電車は飲食の場ではなく、移動するための手段である。 ~(省略)
上記のように「話の筋道」をきちんとして、
意見➡理由➡具体例➡反論への反論➡自分の意見の再提示
となるようにするのが「小論文」なんですね。
採点者のいる「受験小論文」
相手がいるということを意識することも小論文の特徴の一つです。
そして試験である以上「採点者」がいます。先ほどの「相手に分かりやすく伝える」とは、「採点者に分かりやすく伝える」ということです。
一般的な小論文は、「不特定多数の人」が伝える対象ですが、受験小論文の伝える対象は「採点者」のみです。
そこで
・採点者とコミュニケーションを取らなければならない。
(一方的な意見をぶつけるのではなく、問われていること・聞かれていることに対してきちんと投げ返す。)
・採点者は読むだけではなく、最終的に「点数」をつける人である。
ということを受験生が意識しなければなりません。
つまり、採点者に
「私はこういう意見です。論理的に説明もできて、分かりやすい・伝わる文章も書けますよ。」
「だから高得点ください。」
というのをアピールするのです。
小論文の書き方(必須の型)
それではここから実践的な小論文の書き方を一緒に学んでみましょう。
ここで紹介するのは「基本的な型」です。万能に使えるわけではないこともあります。また上位大学を目指すのであれば、「型」から一歩進んで、「応用」を身に付ける必要があります。
覚えておくべき型①
解答字数が「300字以内」の時
【第1段落】自分の意見(=賛成・反対の立場)
【第2段落】その根拠・理由
または順番を逆にした下のパターンでも構いません。
【第1段落】第2段落で示す結論の裏付けとなる「体験や事例・具体的な内容」など
【第2段落】第1段落から導かれる結論(自分の意見)
「300字以内で述べよ。」の場合は、2段落構成で書いていきます。
割合は「自分の意見を50文字~100文字以内」、「残りの文字数で根拠・理由」がおススメです。
総合型選抜や学校推薦型選抜の小論文で、問題が複数あるときに、このパターンが多いです。
問が1~3問くらいあり、問の1・2が100文字以内・300文字以内などです。
覚えておくべき型②
300文字以上の場合
【第1段落】自分の意見(=賛成・反対の立場)
【第2段落】その根拠・理由
【第3段落】具体例
【第4段落】反論の想定・反論への再反論(=自分の立場)
【第5段落】意見の再提示(まとめ)
以下の形も同じような内容(話の道筋・論理)になります。
第1部:問題提起 ~だろうか(賛成が良いのか、反対が良いのか)
第2部:意見提示 確かに… しかし~(自分の立場、賛成or反対)
第3部:展 開 (なぜなら~)★根拠・理由
第4部:結 論 したがって~
字数制限にもよりますが、一般的な小論文試験の「600字~800字(1200字)」程度であれば、上記の「型」で書いていくことをおススメします。
最終的には「型」を破りオリジナルな小論文が書けることを理想とします。
しかし、はじめから、基礎が無いまま「奇をてらったような、カッコつけた小論文」は評価されません。入試小論文は採点者がいるので、確実に得点できる書き方と内容で勝負しないと勝てません。
実際、ほとんどの大学入試は「基本の型」で勝負できます。特に総合型選抜や学校推薦型選抜では、変に飾った小論文より「しっかりと基礎力があると分かる小論文」の方が好まれます。
論文は大学に入ったら書くのも読むのも必須です。
推薦型・総合型は小論文から基礎学力(=論理的な力や知識)を判断するのです。
【例題】 「お金の教育」は、「学校で行うのが良いのか」「家庭で行うのが良いのか」というテーマでよく議論されます。 あなたの考えを800字以内で書きなさい。 【解答例】 海外では、学校でお金に関する教育が盛んに行われている。日本でも高校の家庭科に「投資」や「株」などの分野が入り、お金の教育を進めていこうとする流れがある。果たして、学校でお金の教育をすることは本当に必要なのだろうか。 確かに、学校は知識や教養、集団生活の決まりや礼儀など学べることが多くある。お金のことよりも優先して教えるべき教育内容がたくさんあるとの意見もあるだろう。また、自身のお金の使い方や貯金の仕方などの教育は、本来親が実践すべきことかもしれない。しかし、それでもなお、これからは今まで以上に学校でお金の教育を行うほうがよいと考える。 お金の知識を得ることで自己管理能力が身につき、経済の仕組みが理解できる。子どもも学校教育を終えたら社会に出て自立した生活を送らなくてはならない。生活の基盤となるのはお金だ。そのお金を扱いながら経済社会の中で生きていかなければならない。お金の知識は将来自立した大人になるために必要不可欠である。社会の担い手を育てることが学校教育の最大の役割なのだから、その基盤となるお金の教育は学校でも担うほうがよい。家庭だけに任せていては、家庭で十分にお金の知識を得られなかったがゆえに自立した生活を送れない大人を増やすことにもなりかねない。さらに家庭ごとに経済状況が異なり、親の経験も異なることから、お金の教育の格差のようなものが生まれてしまう。それでは、これからの社会を担っていく子供たちに差を付けることとなる。将来日本がそういった事態に陥らないためにも、お金に関する教育を家庭任せにするのではなく、一律で教育できる学校で担うほうがよい。 以上の理由から、私は学校でお金の教育を行うほうがよいと考える。
上記は一例ですが、「型」に沿って書かれた小論文です。
もちろんお題に対する知識は必要となりますが、「型」を知っていれば、それに当てはめるだけとなります。
型②が一番使います。小論文の基本型と言っても過言ではありません。それくらい重要な「型」となります。
覚えておくべき型③
最後の「型」は、「賛成・反対では自分の意見を書けない」パターンの場合です。
実は「型②」の第1・2部を変えてあげればよいのです。
第1部:問題提起 ~だろうか(自分で問題点・課題点を見つける)
第2部:意見提示 確かに… しかし~(その問題点に対して、しかしの後に自分の考えを書く)
第3部:展 開 (なぜなら~)★根拠・理由
第4部:結 論 したがって~
難易度的には③の方が難しいですね。
自分で問題提起をしなければなりません。課題文や課題テーマに関することの問題点や課題点を見つけ出し、そこから意見を述べていきます。
何が出るか分からないのが、小論文のテーマなので、広く深い知識・時事知識が求められます。
どの「型」でも、何度も何度も書いては書き直して、の繰り返しで上手になっていきます。運動やゲームと同じで、時間をかけて繰り返さないと上達はしません。(これが大変なんですよ。。。)
小論文の対策方法
知識の対策
小論文は、国語・数学・理科・社会・英語とは異なる学習が必要です。
勘違いされてしまうことが多いのですが、決して「上記5教科の知識がいらない」という訳ではありません。
その逆です。小論文はしっかりとした基礎知識(基礎学力)があってはじめて書くことができるのです。基本5教科や家庭科、保健など進学したい学部学科によって求められる知識は変わります。
それら各教科の最低限の知識とは別の、「小論文の基礎知識」も必要になります。
〇新聞・本・(TVやネット)ニュースなどを活用し、1年ほど前から「社会の情報収集」をする。
小論文は「社会とのつながり」について書かされることがほとんどです。
「このような社会的な課題がありますが、あなたはどう考える(立ち向かう)のですか?」と聞かれます。
最低でも小論文をやると決めたその日から、情報収集をしていくことをおススメします。
使い古された手法ですが、「ノートを用意して、新聞切り抜きやニュースなどをまとめておく」ことをおススメします。記事の近くに「自分の考え・意見」も200字程度で書き加えておきます。
これが受験の時に「一番の参考書」となります。
小論文に「ふさわしい文体」というものがあります。これも小論文の知識ですが、以下のポイントが守れていれば大丈夫です。
⇨だ、である調に統一する。
⇨一文を短くする。
主語と述語がかみ合わない文になってしまう。(一文は最大60字 )
⇨話し言葉や流行語は使わない。
⇨呼びかけない。
問題提起での「〜だろうか」は良いが、それ以外で疑問文や反語表現は判断を 人任せにしていると思われるので書かない。
⇨文体の工夫はしない。
比喩や擬人法、倒置法、体言止めなど、主語・述語がはっきりしていない 文は書かないほうがいい。
⇨縦書きの場合、数字は基本的に漢数字を使う。
⇨横書きの場合、語句であれば漢数字で書き、数量を表す時は算用数字で書く。
※ただし、数字・アルファベットは2文字で1マスにするのが一般的
小論文などの文章を書いたら、必ず「他人に読んでもらう」ことです。やはり自分では気が付かないミスなどがあるからですね。
実践の対策
「お題」や「設問文」の分析力を向上させる。
「お題」「設問文」は、設問者(問題を作ってくれている人=受験校)が受験生に投げかけてくれている言葉です。つまりコミュニケーションの一つとして小論文があります。
しっかりとキャッチして、相手の望む場所にボールを返してあげなければなりません。
つまり、しっかりと「分析」をして、「何を答えればいいのか」を把握して、分かりやすい文章構成と表現で「相手に伝えてあげる」ことです。
分析力が大事だと分かりましたが、何をすれば身につくか全く分かりません。
【おススメの分析練習方法】
・小論文の問題集などを学校から借りて(買ってもいいです)、本文は書かずに問題分析だけをひたすらやってみます。
➀「本文があれば本文」と「設問文」を読みます。
②設問者が受験生に書かせたい内容を、思いつく限り書き出します。
(はじめはキーワードだけでもいいので思いつく限り書いてみましょう。)
③模範解答例を読み、自分が書き出した内容があるか確認します。
(なくても構いませんが、学校や塾・予備校の先生に方向性があっているか聞いたり、自分で調べてみたりすると良いです。)
正しく文章をまとめたり書いたりする練習をし、自分の意見だしをする。
おススメ実践対策としては、「新聞のコラム欄」や「天声人語」を書き写す・要約してみることです。
いきなり小論文を書こうとしてもなかなか書けません。
まずは、「すでにまとめてあるもの=新聞や本」を読み、要約し、それについての意見を書く練習ですね。
これも良く使われる練習方法です。
やはり、新聞をベースにして情報収集し、その記事に対する意見だしで書く力を高めていきましょう。
さらにメリットがあります。
総合型選抜や学校推薦型選抜の「面接」対策にもなります。面接では時事ニュースが100%聞かれます。同時に対策できますので、一石二鳥ですね。
これからやってほしい事
やってほしいことを簡単にまとめました。高校3年生はもちろん、2年生でもぜひ早期対策に役立ててみてください。
① 書き方を身につける | ・添削を受ける ・よい小論文を繰り返し読む ・よい小論文を考えながら書き写す おススメ参考書・テキスト 『大学入試 総合・推薦入試をひとつひとつわかりやすく。』 |
② 知識をつける | 新聞・本・論文 おススメ参考書 『読むだけ小論文 パワーアップ版』 |
③志望校の傾向を掴む | 過去問題集 合格者レポート(ベネッセより閲覧可) |
小論文で狙われやすいトレンドのお題
小論文の「お題」には時代を反映したものが採用されます。今の社会の問題点・課題点・大学生になるにあたって考えてほしい事をお題にします。
だから、対策も「新聞を読む」ことが№1なのです。
以下は実際に出題され続けているトレンドや今後の予想です。どんなものがあるのか見てみましょう。
◎グローバル化
コロナ禍でのグローバル化が最近では多いです。今までとは違ったグローバル化をどう考えるのかですね。「グローバル化=英語を学ぶ・話せるようになる」は、大きな間違いです。
◎少子高齢化・人口減少
ますます進んできた問題です。一刻の猶予もない状況で、どうすれば少子化に歯止めをかけることができるのか。実際の10代・若者はどう考えているのか、が問われます。
◎環境・科学技術
環境破壊の原因が科学技術なのか?人間のために科学を発達させてきましたが、その問題点とは。SDGsが叫ばれている昨今、SDGsの一番の関心ごとは「環境問題」になっていますね。
◎教育
全ての国は、教育が人々の根幹にあります。教育ができなければ国が滅びます。どのことを述べるにしても「教育」があって次につながります。教育はあらゆるテーマに結びつきやすいです。
◎人権
人権・差別について、今は世界中で問題とされています。人権とは何か。日本も18歳成人となり、様々な仕組みが変わってきました。「権利と義務」、「性別や格差」など多くの事につながっていきます。
◎現代における他者とのつながり
コロナ禍において、一層叫ばれるようになりました。他者とどのようにつながりを持つのか?オンラインだけでいいのか?きれいごとではなく本質を見抜いた意見が必要です。
以下に、実際の大学入試で出題されたテーマや問題を載せておきます。
総合型や推薦型の小論文の演習をする際に活用してみてください。
まず初めに、「教育」はあらゆる学部の小論文で狙われるテーマとなっています。全て教育につながると言っても過言ではありません。
帝京大学経済・法・文・教育学部共通(学校推薦型選抜2021)
次の文章(齋藤孝『新しい学力』による)を読んで、要旨を100字以内、あなたの意見を400字以内で書きなさい。
(総合型選抜2021)
次の文章(鳥飼玖美子『本物の英語力』による)を読んで、要旨を100字以内、あなたの意見を400字以内で書きなさい。
昭和女子大学人間社会学部現代教養学科(学校推薦型選抜2021)
新型コロナウィルスの感染拡大にともない、改めて社会におけるさまざまな“格差”が浮き彫りになっている。コロナ禍で顕在化した格差の中から事例を1つ選び、①なぜそのような格差が生じているのか、②そのような格差を是正するためにはどうすればよいのかについて、800字以内で論述しなさい。
帝京大学の方は、ストレートに「教育問題」ですね。
逆に
昭和女子大のほうは、一見すると「教育」ではなく「格差」なので教育に関係なさそうですね。
しかし、格差=学力格差の視点で述べると教育になります。しかもコロナ禍で顕在化した格差=ICTなどのオンラインへの対応の格差が使えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
小論文は通常の教科と違い、長い時間をかけて対策をします。日々、社会へのアンテナを張っていなければいけません。
小論文は・・・ 〇「自分の意見とその根拠を証明」するもの。 〇「型」がある。まずは「型」を身に付けることから始める。 〇「社会背景」を中心にお題が出される。
小論文を書くための「武器集め(材料集め)」を何カ月も行っていきます。
しかし、他教科と違い「やればやるだけ上手になる」というもの小論文だけです。
文章作成は、書いた回数に比例して上手になります。
総合型選抜や学校推薦型選抜で大学進学を目指し、小論文を使う人は早めの対策が合否を分けます。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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