山崎正和「水の東西」の解説とテスト予想問題【授業の予習・復習】

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現代文ノート

 高校1年生で本格的な評論文を勉強するときに授業で良く扱われる作品が「水の東西」です。2項対立の論理展開で、非常に分かりやすい内容です。

 さまざまなことを学べるので、どの教科書にも載っているほどの有名な作品です。今回は「水の東西」の本文解説と重要語句、中間・期末テストの予想問題と解答をまとめました。ぜひ参考にしてみてください!

 

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本文の解説(論理展開)

 第1段落では鹿おどしの特徴が説明されています。筆者独特の視点(時間の長さを強調する・流れてやまないものを強調する)をしっかりと読み取りましょう。
 その上で、鹿おどしと対比で「噴水」が書かれています。「流れる鹿おどし」と「吹き上げる噴水」という対比構造(2項対立)が始まります。

 

 第2段落には噴水の特徴が述べられています。鹿威しとの対比的な内容で、「空間的な水」と描かれています。鹿おどしは「時間的な水(時間の長さを強調・流れるものを強調)」でしたね。

日本人と西洋人の「水」(芸術)に対する意識の違いを対比構造で述べています。まずは地域柄の違いを述べます。環境や技術面での違いですね。
 ただそれだけではないと筆者は言います。生まれ持った性質・意識レベルで違いがあるのです。日本人は自ら(積極的に)かたちなきものを恐れない精神を持っています。「見えない水」もそうですが、仏教的なものや思いやりの心(言葉にしない心)などもそうですね。
 逆に西洋人は、自分を大事にして見える形で造形します。キリスト教などにしても十字架で身に付けたり、はっきりと自分の言葉を相手にぶつけたりしますよね。

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 最終段落は、筆者の主張がまとめられています。日本人の芸術に対する鑑賞の仕方を象徴しているのが「鹿おどし」だということですね。水を見ずとも「鹿おどし」を鑑賞できるんですもんね。見ないでも鑑賞できるなんて、究極の芸術ですね。

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重要語句の意味

そえもの趣向(を凝らす)いやがうえにも静寂徒労愛嬌
主となるものにつけ加えるもの。主となるものに付随しているもの。おもむき。趣意。「趣向を凝らす」は、おもしろみやおもむきを出すために、さまざまな工夫をすること。なお、その上にますます。いっそう。あたりが静かな様子。ひっそりとしているさま。むだな苦労。表情や言動がかわいらしく好ましさを感じさせる様子。

 

間が抜けるさながら息をのむ林立造型壮大
大事な点を落としている。「二つの事物・状態が似ているさま」を表す副詞。(下に「…のような」「…のごとく」などを伴って)ちょうど。まるで。(名詞の下に付いて)…そのまま。…そっくり。驚いて一瞬息をとめる。林のように、たくさんのものが並び立つこと。形のあるものをつくること。大きくて立派な様子。
間隙外界
すきま。あいだ。あるものを取りまく一切のもの。

テスト予想問題と解答

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発問 ⑴「鹿おどし」以外に、日本庭園に設けられている施設や装置としては、どのようなものがあるか。知

⑵それらのものと比べて、「鹿おどし」を特徴づけているのはどのような点だと言えるか。思

答 ⑴筧・蹲・遣水・滝・池・築山・庭石・植栽・竹垣・燈籠・東屋など。

⑵同じ動作がいつまでも繰り返されるという点と、その動作に音が伴うという点。

発問 「その愛嬌のなかに、なんとなく人生のけだるさのようなものを感じることがある」という表現からは、筆者が「鹿おどし」をどのようなものとしてとらえていることがわかるか。思

答 その形や、単純で緩やかなリズムと優しい音から、親しみやすくかわいらしいものとしてとらえると同時に、結局何の変化ももたらさない動作の繰り返しが、人生の徒労を象徴しているようなものであるととらえている。

補充 「鹿おどし」の「愛嬌」に関連する形容詞を、第一段落から二つ抜き出せ。思

答 かわいらしい・優しい

 

補充 「けだるさ」の類義語として最も適当なものを、次から選べ。知

ア 退廃

イ 倦怠

ウ 絶望

エ 破滅

オ 消耗

答 イ

補充 「水が少しずつたまる」、「ぐらりと傾いて」、「緊張が一気にとけて」、「緊張が高まり、それが一気にほどけ」などの表現から連想される「鹿おどし」の動きを描写する語の組み合わせとして最も適当なものを、次から選べ。思

ア 緩慢と敏捷

イ 熟慮と拙速

ウ 増大と減少

エ 労働と休息

オ 連続と切断

答 ア

発問 「静かに緊張が高まりながら」とは、どのような状態を表した表現か。思

答 鹿おどしの水受けがいっぱいになって水をこぼす瞬間に向け、徐々に水がたまっていく状態。

補充 「こおん」のように実際の音声を表現する言葉を何というか。知

答 擬音語

補充 「単純な、緩やかなリズムが、無限にいつまでも繰り返される」ことを表現する語として最も適当なものを、次から選べ。知

ア 直線的

イ 円環的

ウ 多面的

エ 画一的

オ 平行的

答 イ

 

発問 「何事も起こらない徒労」とは、どういうことか、具体的に説明せよ。思

答 いっぱいになった水が一気にこぼされても、再び同じ動作が繰り返されるだけで、何か新しい変化が起きたり、新しいものが生み出されたりすることがないということ。

補充 「何事も起こらない徒労」の内容を説明した一文を、第一段落から抜き出せ。思

答 見ていると、単純な、緩やかなリズムが、無限にいつまでも繰り返される。

補充 「庭の静寂」とあるが、筆者がここで想定している「庭」はどのようなものか。次の空欄に入る適当な語句を、第三段落から二十五字以内で抜き出せ。思

〔                   〕庭。

答 せせらぎを作り、滝をかけ、池を掘って水を見る(22字)

発問 「それをせきとめ」の「それ」は何を指しているか。本文中から抜き出せ。思

答 流れるもの

発問 A「曇った音響が時を刻んで、庭の静寂と時間の長さをいやがうえにも引き立てる」、B「それをせきとめ、刻むことによって、この仕掛けはかえって流れてやまないものの存在を強調している」について、この二つの表現に共通している感じ方を説明せよ。思

答 Aでは音によって逆に静けさが印象づけられ、Bでは流れがせきとめられることによって逆に流れが印象づけられるというように、あるものが、その逆のものによって印象づけられるという感じ方が共通している。

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補充 「かえって」の用法の説明として最も適当なものを、次から選べ。思

ア 逆説的関係の説明

イ 因果関係の反転

ウ 類義関係の強調

エ 具体例の提示

オ 補足事項の添加

答 ア

脚問 「強調していると言える」のはなぜか。思

答 「鹿おどし」が水や時といった流れるものをせきとめ区切ることによって、逆に我々は水や時の流れに気づき、それらの存在を強く意識することになるから。

発問 「私はこの『鹿おどし』を、ニューヨークの大きな銀行の待合室で見たことがある」とあるが、筆者は、ニューヨークの人々にとって、「鹿おどし」はどのようなものであったと考えているか。思

答 「鹿おどし」の立てる音と次の音との間隔を意識することで水の流れを感じるというようなものではなく、単純に、素朴な竹の音色に心ひかれるもの。

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補充 「あの素朴な竹の響き」とは、どのようなものか。第一段落から十四字と五字の二つの表現を抜き出せ。思

答 こおんと、くぐもった優しい音・曇った音響

発問 「一つの音と次の音との長い間隔を聴く」について、次の⑴・⑵に答えよ。

⑴「間隔を聴く」の「聴く」を、他の表現に置き換えるとすれば、どのような表現があるか。知

⑵「一つの音と次の音との長い間隔を聴く」ことは、結局何を感じることになるのか。思

答 ⑴「味わう」「意識する」「感じる」など。

⑵「水の流れ」と「時の流れ」。

補充 「一つの音と次の音との長い間隔」における「鹿おどし」の状態を説明した一続きの三文を、第一段落から抜き出せ。思

答 かわいらしい竹のシーソーの一端に水受けがついていて、それに筧の水が少しずつたまる。静かに緊張が高まりながら、やがて水受けがいっぱいになると、シーソーはぐらりと傾いて水をこぼす。緊張が一気にとけて水受けが跳ね上がるとき、竹が石をたたいて、こおんと、くぐもった優しい音をたてるのである。

発問 「それよりも」の「それ」とは何を指しているか。思

答 鹿おどし。

補充 「華やかな噴水」とあるが、「華やかな」という形容動詞と対比される形容動詞を第一段落から抜き出せ。思

答 素朴な

 

発問 「そういえばヨーロッパでもアメリカでも、町の広場にはいたるところにみごとな噴水があった」について、次の⑴・⑵に答えよ。

⑴「そういえば」とは、どのような内容を受けて「そういえば」なのか説明せよ。思

⑵西洋に噴水が多く作られた理由を第三段落の中から二つ抜き出して答えよ。思

答 ⑴ニューヨークの銀行で、人々が華やかな噴水に気持ちをくつろがせていたこと。

⑵①西洋の空気は乾いていて、人々が噴き上げる水を求めた

②ローマ以来の水道の技術が、噴水を発達させるのに有利であった

発問 「名のある庭園に行けば、噴水はさまざまな趣向を凝らして風景の中心になっている」について、次の⑴・⑵に答えよ。

⑴噴水が庭園の「風景の中心になっている」とはどういうことか、説明せよ。思

⑵「中心になっている」と対照的な表現を、本文中から十字以内で抜き出せ。知

答 ⑴庭園を構成する重要な要素として、噴水はなくてはならないものであるということ。

⑵そえものにすぎず(8字)

発問 「何百という噴水の群れ」を比喩を用いて表している部分を、本文中から二つ抜き出せ。知

答 「壮大な水の造型が轟きながら林立している」・「揺れ動くバロック彫刻」

 

発問 「樹木も草花もここではそえものにすぎず」の「ここ」とは具体的に何を指すか。思

答 エステ家の別荘(など)。

脚問 「壮大な水の造型が轟きながら林立している」とは、どのように見える様子か。思

答 多数のみごとな噴水が大きな音をたてながら水を噴き上げ、まるで彫刻のように空間に静止して見える様子。

発問 第二段落の中から、噴水が「空間的な水」であることをうかがわせる表現を抜き出せ。知

答 「噴水の群れ」「壮大な水の造型」「林立している」「バロック彫刻さながら」「空間に静止している」

発問 「そういうことをふと考えさせる」とは、どういうことか。思

答 日本と西洋には、「時間的な水と、空間的な水」という違いがあるのではないかということを直感的に考えてしまうということ。

発問 「せせらぎを作り、滝をかけ、池を掘って水を見ることはあれほど好んだ日本人」とあるが、日本人の好んだ「水」とはどのようなものか。思

答 自然の法則に逆らうことなく流れたり落ちたりとどまったりして、あるがままの姿をしているもの。

補充 「日本人が、噴水の美だけは近代にいたるまで忘れていた」とあるが、日本人にとって「水」はどのような存在だったか。それを説明した一文を、第三段落から抜き出せ。思

答 日本人にとって水は自然に流れる姿が美しいのであり、圧縮したりねじまげたり、粘土のように造型する対象ではなかったのであろう。

 

発問 「その」とは何を指すか。思

答 現代の都会でも、日本の噴水は西洋のものほど美しくない

補充 「東京でも大阪でも、町の広場はどことなく間が抜けて、表情に乏しい」という日本の風景と対比される西洋の風景が説明されている一続きの二文を、第二段落から抜き出せ。思

答 そういえばヨーロッパでもアメリカでも、町の広場にはいたるところにみごとな噴水があった。ちょっと名のある庭園に行けば、噴水はさまざまな趣向を凝らして風景の中心になっている。

発問 「表情に乏しい」とは、どういうことか。知

答 変化がなく、生き生きとした個性に欠けるということ。

発問 「人工的な滝を作った日本人が、噴水を作らなかった」とあるが、「滝」と「噴水」の「人工的」の内容の違いを説明せよ。思

答 「噴水」は水そのものの形を人工的に作るものであるが、「滝」は人工的であっても自然を模倣する形で作られているのに加えて、水の流れそのものは自然の法則に従って流れるものであり手は加えられていない、ということ。

発問 筆者が重視している「噴水を作らなかった理由」とは何か。思

答 日本人にとって水は、圧縮したりねじまげたり、粘土のように造型する対象ではなかったからという理由。

発問 「そういう外面的な事情ばかりではなかった」について、次の⑴・⑵に答えよ。

⑴「外面的な事情」とはどのような事情か。思

⑵「内面的な事情」とはどのような「事情」だと考えられるか、それを具体的に説明している部分を本文中から抜き出せ。思

答 ⑴①日本は湿度が高く、噴き上げる水を求めなかったという事情。

②水道の技術がそれほど発達していなかったという事情。

⑵日本人にとって水は自然に流れる姿が美しいのであり、圧縮したりねじまげたり、粘土のように造型する対象ではなかった

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発問 「圧縮したりねじまげたり、粘土のように造型する対象ではなかった」について、次の⑴・⑵に答えよ。

⑴どういうことか。思

⑵日本と西洋とで、同じような違いを感じさせる例をあげよ。知

答 ⑴日本人は、西洋人のように自分たちの表現したい造型を作り上げるための素材の一つとして水をとらえなかったということ。

⑵(例)・日本庭園と西洋庭園における植物の扱い。

・生け花とフラワーアレンジメントにおける植物の扱い。

・日本料理と西洋料理における素材の扱い。

発問 「好み」を本文中の語で言い換えるとすれば、どの語が適当か。思

答 感性

脚問 「それ」は何を指すか。思

答 「行雲流水」という言葉に表されるような、自然にまかせるのがよいとする態度。

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発問 「受動的」について、次の⑴・⑵に答えよ。

⑴対義語を答えよ。知

⑵本文中で対立する意味で用いられている語を抜き出せ。思

答 ⑴能動的

⑵積極的

発問 「我々は水を実感するのにもはや水を見る必要さえないと言える」のはなぜか。思

答 自然に流れる水が美しいという感性を持つ日本人は、「鹿おどし」の断続する音の響きを聞いて、その間隙に流れるものを実感することができるから。

脚問 「その間隙」とは何か。思

答 「鹿おどし」が立てる一つの音と次の音との間。

補充 「間接に心で味わ」うことに関連する語として最も適当なものを、次から選べ。思

ア 観賞

イ 創造

ウ 想像

エ 諦観

オ 主観

答 ウ

 

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