今や大学入試のメインになりつつある【総合型選抜】と【学校推薦型選抜】。この2つに共通するものが「志望理由」です。志望理由書を提出させたり、面接で志望理由を聞いたりされますね。そのようにとても重要な「志望理由」ですが、受験生が作成しようとすると大変難しく、時間がかかります。中には全く手が付かず、何をしたらよいかわからなくなってしまう人もいます。
また大半の人が、高校や塾などでアドバイスをもらいながら書き直していきます。何度も何度も指導をもらいながら完成させていきます。
しかし、そのように苦労して作成した志望理由書ですが、実は多くの人が似たり寄ったりの構成・内容になってしまいがちなのです。これは「教える側がテンプレートに沿って指導している」ことが原因です。広く多くの生徒を指導するには、「テンプレ」通りが効率よくなるからですね。けどそれでは読む側(大学教授)は面白くもなんともないですよね。何十人と読まなければならないのに、みんなと同じように書いてあったら、印象にも残りにくいです。
今回は、他の人と被らない目立つ志望理由書を書くためには、「どのような内容を」「どのような構成で」書けばいいかをまとめました。この記事を参考に「他と一緒のつまらない志望理由」とならないようにしてみてください。
さとうの薦める志望理由の書き方は、明確な目標(職業)があり、社会的な課題を解決しようと自分で体験・経験・行動していることが前提となります。
高校3年生でまだそれらをしていない人は遅くても夏休みに何か始めなければなりません。
「きっかけ」はいらない?志望理由の冒頭部分
冒頭部分:就きたい職業とそれに関連する社会問題を述べる。
志望理由を考える時に一番重要なのは、「就きたい職業」を明確にして述べることです。しかし、その後にたいていの受験生は、そう思った「きっかけ」を述べてしまいます。それはそれで悪くはないのですが、テンプレート的になってしまいつまらなくなります。
※テンプレート的な「きっかけ」を述べる志望理由書の方が、自分の述べたいことを述べられると感じる方はこちらを参考に↓
他の受験生より一歩優れて見せるためには、「感想文的なきっかけ・理由」は述べずに、「社会問題を解決に導くための志」を述べます。大学がどんな人を求めているのかと言ったら、それは【社会貢献できる人・ひいては人を幸せにできる人】です。
賢く見せよう!志望理由の中盤部分
中盤部分➀:「なりたい職業」と「その社会問題」の根拠
実際にその問題がどのくらい人々に悪影響を及ぼしているのか。自分の思い過ごし(勘違い)ではなく、データに基づいた社会問題である証拠を述べます。
その社会問題を解決することが、広く人々の幸福へとつながるという流れにするためです。
中盤部分②:その問題を解決するために何をしてきて・今後何をしたいか
大学側は研究人を探しています。研究をして社会に貢献できる人間が欲しいと思っています。そこで、これまでの自分の人生で自分がどのような行動をしてきたのか・今後どのような行動をするつもりなのかをアピールする必要があります。
もちろん全ての社会問題を解決できる人間なんていません。しかし、自分が働きたい職に関わる社会問題を一人一人が解決に導くような努力ができれば、結果として社会全体の問題が解決の方向へ進んで行きます。そのような努力のできる人が、大学側は欲しいのです。
※以下のような書籍で「社会のことについての基礎知識」を頭に入れておきましょう!
しっかり伝えよう!志望理由の後半部分
後半部分:その大学でないといけない理由
いくら社会問題への意識とやりたい研究があっても、志望する大学とマッチしていなければなりません。「うちの大学ではできない研究ですが・・・?」と思われてしまっては元も子もないですね。
「自分のやりたい事・目指すものがあなたの大学でしかできないのです!」という熱意をアピールします。
その際、大学を研究しましょう。「どんな教授がいて」「どんな研究がされていて(論文含む)」「どんな施設があり」「どんな取り組みがあるか」「力を入れている教育は何か」などを、あらゆる手段で研究します。
志望理由書の完成例
それでは今までの部分を一つの志望理由としてまとめてみましょう。必要な部分は追記してあります。もちろん、これが完成形ではなく「広く一般的な志望理由」になっていますので、ここからオリジナルにしていく必要があります。
私は,管理栄養士として〇〇を研究し,病院食で患者の健康をサポートするだけでなく,退院後も患者自身が栄養ある食生活を送ることが出来るような食指導をしたい。
国立情報学研究所が出した,2019年荒川直江・佐藤祐造・土田満の「栄養士教育の現状と今後の課題-質問紙調査結果より-」で管理栄養士・栄養士に行った調査論文がある。その論文では,現状の仕事は発注や料理などがメインであり,今後行いたい業務に栄養指導が挙げられている。現在,病院で勤務をしている管理栄養士は医師から出る食に関する処方箋を基に入院患者への給食を作り,栄養面で患者のサポートをしている。しかし,現状は給食管理が主な仕事となり,患者への退院後の栄養指導をすることが出来ていない。私は,〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇をしたい。
第2段落で述べてきた問題点を解決するために自分がどんなことをしたいのか。普通のことでは他の受験生と比べて見劣りしてしまいます。面白い発想,突飛な発想を書くこと。
そのためには,患者が退院後でも自身の食生活を見直すことが出来るような評価方法を学ぶ必要があると考える。また,多種多様な患者へ対応できるよう年齢別や病種別に,栄養指導を考えるための知識が必要になると考える。
第2段落では現状の問題から自身のやりたいことを結び付けました。第3段落では問題解決のために,どんな力が必要なのか,どんなことを研究したいのか書くことが重要です。
〇〇大学栄養学部管理栄養学科では,公衆栄養学実習や栄養教育実習が行われており,食事の評価方法を学べたり,対象者別の栄養教育計画の作成や実施などを行えたりする。私は入院中の患者への栄養指導の礎を学んでいきたい。『〇○○○〇』の論文を執筆した〇〇教授のもとで、私は〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇という研究を進めていこうと考えている。また,3年次で行う保健所・保健センター実習や4年次で行う病院実習を通して,実践的なスキルを身に付けることが出来るだけでなく,現場の状況も把握していく。こうした豊富な実習を通して患者を退院後も食事でサポートすることが出来る管理栄養士になりたい。
第一段落の「管理栄養士として〇〇を研究し」の部分がしっかり書けていれば,第4段落は書きやすいです。最後の締めになるので気合を入れてまとめましょう!
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