高校受験や大学受験をしていると「国語」ってどうやって勉強すればいいのか疑問に思うことありませんか。
日本語なんだから勉強しなくてもなんとかなる。センスと感覚で読める時がある。と考えていると一向に点数は上がりません。
実は国語こそ、しっかりとした計画と実践を繰り返さないと伸びない教科なんです。
日本語だからこそ、その勉強法が見つかりにくい【国語(現代文)】の学び方・考え方をご紹介いたします。(論理的な文章がメインです。)
まず国語(現代文)の点数・偏差値を伸ばす結論として、以下の点が挙げられます。
【結論】
- 国語の正体を知る
- 論理的関係を知る
- 設問の分析力を鍛える
- 過去問を使いこなす
それでは各項目について具体的にどういうことなのかを見ていきましょう。
それぞれの情報をご自身(お子様)の受験勉強に取り入れていただくだけで、3ヶ月後には国語の力が今よりも必ずあがっています。
国語の正体を知る
国語に重要性を見出せないと学習に気合が入りませんよね。なんで勉強する必要があるのかを理解していないと、本当に意味のある勉強にはなりません。
国語の力=日本語運用能力
皆さんも1回は聞いたことがあると思います。
「国語の点数が上がると他の教科も点数が上がる」
これは実際に事実で、私が教えている生徒たちも現代文の読解能力が高いとそもそもの理解力が高いので、一度の説明で理解ができます。
つまり、問題文を読み取れる取れない以前に「その教科の理解が出来るかできないか」の問題になります。学習というのは効率・効果を追い求めないと結果が出ないので、この差はとても大きくなります。
さらに国語の学習の特徴としては、「勉強の仕方が分からない」というのがあります。
これは日本語ゆえの問題です。
中学3年生であれば15年間、高校3年生であれば18年間も日本語で生活してきています。
当然のことですが、これが問題となってしまいます。
生活をするレベルであれば、何も困らない日本語力は基本的に身についています。
友人と会話をしたり、親や先生とも会話をする際にも困っている人は少ないと思います。
その延長で国語(現代文)の勉強も「なんとなく」はできてしまうんです。
なんとなく本文は読めるし、なんとなく聞かれていることも分かるし、なんとなく解説も読める。
ただ、これではいつまで経っても「点数」「偏差値」は上がりません。
国語に対する正しい理解と正しい学習方法を知ることが、受験対策の第一歩となります。
論理的関係を知る
現代文の文章を正しく読む上で絶対的に大事な要素=「論理」です。
正しく読むこと、が高得点への第一歩です。
論理とは「物事の筋道・道のり」のことです。
論理は全ての物事で役立てることができるので、国語の学習以外でも効果的です。
論理的に読む、論理的に話す、論理的に書くができることは、社会人になってからも役立ちます。
私の尊敬する伝説的な現代文の予備校講師【出口汪】先生も以下のようにおっしゃっています。
私たち日本人は、生涯日本語でものを考えて生きていきます。その日本語の使い方や、日本語でのものの考え方を学ぶことによって、その人の一生が変わってしまうこともあるのです。(中略)筆者が日本人であろうと、アメリカ人であろうと、はたまた平安時代の人間であろうと、その筋道の立て方は同じです。また、作文や論文を書く時にも、当然筋道を立てなければなりません。だから、日本語の論理的な使い方を学ぶことは、英語や古文やその他の様々な言葉の教科を勉強するのに必要です。
論理エンジン OS1プロローグより
さらに、実は言語教科だけではなく、あらゆる学問はすべて「論理」という約束事で成り立っているのです。だからこそ、たえず論理的な思考訓練をし続けることが大切なのです。
「論理」とは具体的にどういうものなのか?
これは、
【文章や話の中で筆者(話者)がどういう順番(道のり)で読者(聞き手)に理解してほしいか】
を示してくれているものになります。
特に本は「不特定多数の人間へ、自分の主張を全員に同じように伝えたい」意図で書かれています。
そのためには「論理」を駆使するしかないんです。
※論理を使って正しく読んでくれれば、全員に等しく同じように伝わりますよね。
例えば、「私は昨日、夜遅くまで起きていました。そのため、今日は1日とても眠かったです。」
という一文があるとします。
この一文の要点(核・ポイント)は「(筆者は)眠かった。」です。
なぜそう言えるのか。それは論理に従っているからです。
日本語の一文の要点は「主語と述語」になります。(これはとても大事です。)
先ほどの例を要点のみで捉えると、
「私は、起きていました。そのため、(私は)眠かった。」
となります。これがこの一文の骨格となります。そして「論理=道のり」を考える上で大事なことは接続詞(接続語)です。(次の項目で詳しく解説します。)
今回であれば「そのため」という「因果関係」を示す言葉があります。
原因=私は起きていた。
結果=私は眠い。
という構造が見えてきます。そして因果関係であればもちろん原因も大事ですが、筆者(話者)が一番伝えたいのは「結果」です。
つまり、この一文では「(私は)眠かった。」が重要な読み取りポイントとしてあがります。
論理とは道のりである、というイメージはなんとなく持てましたか。
今回は「私は起きていた」←だから「私は眠い」
「私は眠い」なぜなら「私は起きていたから」という道のりで理解してほしいということです。
このようなことを意識しながら文章を読んでいくことで、本当に筆者が言いたいことを理解しながら 、間違いやズレがないような読解へと繋がっていきます。
論理構造を知る
正しく読むための論理的読解をする上で必須となる考え方は、以下の2つです。
- 接続語(接続詞)
- 3つの論理的関係
2つには共通して「イコール関係・因果関係・対比関係」があります。
イコール関係(接続語は、つまり・すなわち・要するに・例えば)
不特定多数の他者に向かって主張を述べる。分かってもらうために筋道立てて説明するときに、主張の裏付け筆者は書きます。
それは具体例やエピソード、引用などです。主張の正当性を訴えるために、具体的事例を引っ張り出します。
つまり、主張の論証の材料として持ち出される例とかエピソードとかは、いうなれば主張と同じことの繰り返しになるということです。このような論理構造を「イコール関係」と言います。
A (筆者の主張) = `A (具体例・エピソード・引用 など)
例えば 「私は甘いものが好きだ。たとえばチョコレートやアイスだ。」
ここでは、甘いもの=チョコ・アイス の関係が成り立ちます。
さらに主張は「甘いものが好きだ」になります。
このようにイコール関係をすることで、筆者が言いたいことが読み取れるようになります。
すると文章を主張とそれ以外で分けることができ、筆者の言いたいこととズレることなく読み取れます。つまり正しく読めます。
対立関係(接続後は、しかし・ところが)
日本について説明したいから、西洋と比べたり、環境保護について訴えたいから、それと対立する意見を持ち出すなどです。
パターンは3つあります。
〇通常対立
二つのことを「比べる」ことによって正しさを主張する方法。
〇譲る対立
いったん相手に一歩譲って認めるように見せつつ、「なるほどそういう意見も一理ある。だが、・・・」と否定する。
〇弁証法
対立する意見を統一して、高い次元に押し上げるというもの。両者の欠点を補い、長所を生かす方法はないかを考えていくことです。単に二つを合わせるだけでなく、より良くするように、高い次元に押し上げて統一していきます。
A (筆者の主張) ↔ `O (対立命題 主張と他律するもの)
このような対立関係を理解することも、筆者の主張を正しく理解するためには重要です。
正しく理解することで、正しく解けるようになり得点UPへとつながります。
因果関係(接続語は、したがって・だから・ゆえに・そこで)
原因と結果のことで、前を根拠に次に論を展開し結果を示してきます。
なぜ因果が大切なのか?
それは設問で最も多いもののひとつに「理由を述べよ」があるからです。
さらに、論の展開を把握するうえでも因果は大事になります。
結果=主張に繋がること、だからです。
主張を言いたいがためにしっかりとした根拠(理由)を述べないと、自分の主張を納得してもらいえないですよね。
このように、論理的関係をしっかりと理解した学習を続けることで正しく本文が読めるようになります。難しく感じるかもしれませんが、ほんの少し意識し始めるだけで構いません。
その積み重ねが続けば、3ヶ月後には文章を読みながら頭で整理できるようになっています。
そして得点UPに繋がります。
上記のことは基本中の基本になりますので、まずは普段の学習で本文を読むときに意識してみてください。
設問の分析力を鍛える
そもそも設問とは
いくら正しく読めても、設問を正しく分析(意図や問われていることの把握)ができないと、得点UPには繋がりません。
そもそも設問文は「筆者(作者)でもなく」「読者(解答者)でもなく」、「第3者である設問作成者が作った」ということを意識したことがありますか?
通常の読書では、【筆者ー読者】 の関係になります。読者は筆者とコミュニケーションを取ります。
しかし問題を解くということになると、【筆者ー設問作成者ー解答者】 という構図に変化します。
設問分析のスタートは、設問を作った人がいるという意識を持つことです。
設問分析の方法
設問は大きく3つに分類することができます。
- 言い換え問題
- 理由問題
- 内容一致問題
1.言い換え問題
この設問文には「説明しなさい」や「どういうことですか」という言葉が入っています。
この場合、求められていること(設問の意図)は「言い換えろ」です。
つまり傍線部や設問で聞かれている部分を「違う言葉で言い換えなさい」ということ。
選択問題であれば、言い換えている選択肢が答え。
記述問題であれば、傍線部を丁寧に一語一語言い換えてあげる。
このようにして解答していきます。
2.理由問題
理由を答えさせる問題。この設問で求められていること(設問の意図)は「因果関係を探せ」です。
因果の接続語が使われている部分や文と文が因果関係になっているところを探します。
特に大学受験レベルであれば、「なぜなら・だから・ゆえに」などの接続語がなくても、
文と文の関係は「因果関係」になっているということに気が付かなければなりません。
私は歯が痛く、病院へ行った。(歯が痛い「から」病院へ行った。)
昨夜は多くのご馳走を食べた。お腹も心も満たされた私は〜。(ご馳走を食べた「から」満たされている。)
傍線部で聞かれているのは「何のどんな理由なのか」をしっかりと把握して、その因果関係を本文から探していきます。
3.内容一致問題
この設問は、本文全体を読み終える必要があります。
ほとんどの場合が、後半付近の問いになります。
内容の一致不一致は選択問題になるので、選択肢を吟味する必要があります。
- 選択肢の吟味
- →選択肢を部分部分で区切り、分類していくイメージ
①〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇。
②〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇。
③
④
⑤
上のような感じで選択肢が作られていたら「、」までを一つの区切りとして見ます。
そして選択肢を縦に比較していきます。
①〇〇〇〇、
②〇〇〇〇〇、
③
①〜⑤までの文頭部分で比較して、本文に合っていないものは切っていきます。(❌をつける)
慣れてくると「選択肢を上から見て、分類・比較できる」ようになってきます。
過去問を使いこなす
過去問(志望校の過去問題)は、最高の参考書・テキストです。
これほど「生」の「生きた」問題はありません。
なぜなら、その学校(公立高校ならその都道府県)が実際に出した問題だからです。
「え?同じ問題は出ないよね?」
多くの受験生はこう思ってしまい「過去問を最後まで取っておく」間違いをしてしまいます。
直前に実践形式・最後の確認としてやろう、と思っている人がとても多いはずです。
そんな人に「過去問は3年生になったら一番最初に解く問題集だ。」と伝えたいです。
以下は過去問題の具体的な使い方の流れです。
- 3年生になったら過去問を2年分は解く。
- 習っていないところ以外で、間違えている箇所を書き出す。
- 間違えている箇所を中心に教科書・参考書で勉強し直す。
- 2年分の過去問演習と直し・復習が終わったらさらに2年分やる。
- 1へ戻り繰り返す。
高校入試であれば5年分〜10年分
大学入試であれば国公立大学は15年分、私立大学は20年分
過去に出た問題=その学校・都道府県の出題のクセをが分かる
過去に出ている分野こそ、形を変えて再度出されるパターンが多い
何年分も解いていれば、
「こんな感じで問題を出すんだ」ということが見えてきます。
もちろん1つの学校・公立校だけではないと思うので、複数の過去問を同時にこなすことになります。
それだけでも十分な学習量になります。
加えて模試・実力テストなどの復習もありますよね。
過去問を中心とした学習にすることで
【効率的に・効果的に、その学校に受かる最短の学習ができる】
と考えてもらえればいいです。
実際に出た分野は、その学校が出題しやすい分野です。
逆を言えば、そこに気がつかず、最初から最後まで勉強してしまうのは「無駄」になります。
するべき必要のない勉強まではしなくていいのです。
合格最低点さえクリアしてしまえば、合格です。
受験を戦う上では、このような考え方(極端な効率主義)が重要になります。
さらに、過去問を中心にすることで学習の計画が立てやすくなります。
- 過去問を解く
- 間違えているところ(弱点・苦手)が分かる
- 克服するために、どこを勉強すればいいか分かる
- 何を使って勉強すればいいかが分かる
- いつまでにやればいいかを決めやすくなる
- 期限達成できるように実践する
このような流れで過去問から学習計画を立てていきます。
最後に
いかがでしたか?
このような方法をまだ実践していない場合は、ぜひ取り入れて見てください。
昨今の高校入試・大学入試は文章量が増大しています。
本文も選択肢も、本題冊子に書いてある文章の全てが多くなっています。
そんな多くの文章を効率よく早く読むためには、【論理】が欠かせません。
解答のテクニックも欠かせません。
今回の記事が多くの受験生の役に立ち、希望進路実現のお手伝いができたら嬉しいです。
以下は尊敬する出口先生のホームページです。ぜひ訪問してみてください。
https://deguchi-hiroshi.com/
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