高校受験や大学受験に向けて勉強させたいけど、「何をどうすればいいか分からない。」という声がとても多く聞こえてきます。
具体的には
苦手科目と得意科目のどちらをやらせればいいのか。勉強させてもできるようにならない。
話を聞くと「授業がわからない」「やる気が起きない」ばかりで、本当に受験して合格する気があるのか、、、
学校や塾で学習指導(進路指導)をしていると、保護者の方の悩みはお子様の「勉強のこと」・「本人のこと」の2つだけだと分かりました。
解決するためには、「成長途中で世の中(受験)のことをあまり分かっていない子ども」に「正しく導いていく大人(主に保護者)」が「しっかりと情報を与えて指導していく」ことが必要です。
(厳しく言うと)保護者の方の情報不足によって的確なアドバイスができなく、子どもたちがどう動いていいか分かっていないんです。
受験で勝つためには、本人の努力「だけではなく」、「保護者の方の行動」も重要になります。
20年前に比べ、情報社会が加速し多くの情報に触れることが可能になりました。情報で溢れかえっている中に子どもたちはいます。
「娯楽」も増えました。「時間を潰せない」ということは、あり得なくなっています。
やれることが限定的だった保護者の方世代に比べ、今の中高生はなんでもできてしまいます。そのような時代・社会の中で、正しく勉強させることはとても難しく、しかしとても大事なことです。
この記事が、受験生を抱える保護者の方のお手伝いとなれば幸いです。
それではさっそく【結論】から見ていきましょう!
それでは、1つずつ解説していきたいと思います。最後までお付き合いのほど、よろしくお願いします。
勉強する意義を親自身の言葉で説明する。
「なんで勉強するの?」
「数学の計算なんて社会に出てから使わないし。」
「勉強しなきゃ社会に出られないって嘘じゃん。」
「学歴じゃない、やりたいことをやる社会だって大人は言っているけど。」
教員をしていると一度は耳にする有名な言葉ですね。保護者の方も、お家でお子さんに言われたことがある人も多いかもしれません。しかし、これ、、、
勉強したくない「言い訳」からきていますが、「とても重要な疑問」なのです。
勉強する意味をしっかりと理解していないと、勉強する意欲が湧かなくなり受験に失敗しまいます。「なぜ学ぶのか?」の答えを理解させないとスタートすらできません。
私たち親世代も「勉強をやらされてきた」人がいると思います。時代的に教員が強くて、親もある程度強くて、私たちはそれに従ってきました。(情報も少ないですし)
昔は親や教師から「こうだ!(これが正しい考え方だ!)」と言われたらそれ以外を子供がひねり出すのは困難でした。
しかし、今は小学生でもスマホ一つでどんな情報にもアクセスできます。情報が多すぎると逆に人は悩んでしまいます。何が正しいのか自分で判断できなくなります。
そして疑問のようなセリフを吐くことになります。
そんな時こそ、保護者の方の出番です。ご自身の言葉でご自身の考えを投げかけることができれば、お子様たちの大きな一歩となります。
・子供の質問にきちんと答える。「なぜ勉強するの?」
・勉強は生まれ持った才能ではない。(勉強意欲は引き出すもの、勉強方法は学ぶもの)
「どうして勉強するの?」
早いお子さんであれば、小学生の頃に聞かれたことがあるかもしれません。勉強よりも遊びたい気持ちが多い小学校低学年くらいから芽生えてくる気持ちです。
情報の少なかった昔と比べると、比較にならないほどの情報がある現在に生きる子どもたちは、小学生くらいから世の中のことが分かり始めています。
世の中の仕組みについて正しく説明して、勉強しなければならないことをきちんと教えていくことが大事です。
もちろんこの答えが全てではありませんが、「厳しい社会の現実を教えておく」ことが答えの「核」です。
「勉強しなくていい」「競争しなくていい」「学歴は関係ない」「差別はない」等などは現実社会ではあり得ない理想で、間違った幻想です。
大人になって世の中に出ていけば、厳然とした学歴社会が存在します。(仕事の能力にも影響していますよね。)
受験勉強を通して、生きていく上で必要最低限の基礎知識を身につけ、将来の自分への投資とします。未来の自分が生活に困らないようにするための準備が「勉強すること」です。
「社会の仕組み」や「お金に関すること」を明らかにするのを、日本人は苦手とします。様々な理由がありますが、重要なのは「それらをきちんと伝えること」です。子どもを1人の対等な人間として扱うことが大事です。
「脳」の効率良い使い方を教えてあげる。
「脳は基本的に怠け者」
本質が怠け者の脳を、どう働きものにするかがポイントとなります。規律も強制もなく、すべてから解放された自由な状況にある人間の脳は、原始的な機能である「感情系」の要求に従って行動するようになります。
当然、面倒なことを避けるようになるので、規律ある安定した生活リズムを失います。同時に脳の安定した活動リズムも失われます。
・ある程度強制された規律ある一定の生活リズム
・適度な刺激を与えて血流をよくする
・良い栄養と適度な休息や気分転換
※脳が活発に活動するまでは、個人差がありますが「2時間必要」です。
以上が、毎日の生活で意識しなければならないことですね。
これらはお子さん本人だけでは難しく、保護者の方の協力があって初めてできます。
そこもやはり「(お子さんの)怠け者の脳をコントロールする」ということですね。
お子さんが勉強を始める前にさせたいこともあります。脳が活発になるまでは2時間かかります。普段の学校生活であれば、特に意識しなくてもいいのですが、
土日休みの日は勉強前に脳のウォーミングアップが必要です。
・最適なのは、手足を軽く動かすこと。(散歩やストレッチ)
・口や目を動かす運動をする。(朝の会話や新聞などを音読すること)
手足を動かす散歩では、頭のてっぺんにある前頭葉の運動野を刺激し、脳全体の血流が良くなります。新聞などの音読でも目と口の運動になり、同様に血流が良くなります。
音読がいいのは、「脳への入力➡情報処理➡出力」という要素が連続しているからです。速やかに音読するには、内容の理解を必要とする情報処理があり、声を出す出力もあります。
運動ができない日などにおススメです。
そして、入試本番では入試開始時間と脳活動が活発になる時間を合わせることが重要です。スポーツ選手が試合前にウォーミングアップをしっかりとするように、脳にもウォーミングアップが必要です。
一般的な入試開始時間は、9時が多いです。なので2~3時間前の6時~7時に起きて、脳のウォーミングアップを完了させておきます。
脳は怠けものですので、試験の1週間前にやったくらいでは意味がありません。
最低でも1か月まえから生活リズムを入試本番に合わせていくことをおススメします。
「入力と出力 2つの学習作業」
脳に知識を定着させるには、上記2つの作業が必須になります。
勉強は基本的に一人でするもので、知識を脳にインプット(入力)する作業が多くなります。インプットした知識を活用するアプトプット(出力)は別の方向の作業となります。
脳科学の研究によるとこの二つを上手に組み合わせることでいい結果を生み出すと言われています。
エビングハウスの忘却曲線を知っている方も多いと思います。
ここから分かることは、「人は覚えたことをずっとは覚えていられない」、「早めに繰り返し学習することで、2回目以降は定着の時間を短縮できる」ということです。
1回目に英単語を10個覚えるのが10分だとすると、2回目はそれが5分でできますよということです。
きちんと暗記したつもりでも人の脳は忘れていくものです。適切な復習で再度脳に覚えさせる必要があります。
学力を伸ばすには、知識の絶対量を増やさなければなりません。その際に知識の入力方法としては、黙読による目からの入力よりも、
目からの入力を音読することで同時に声が耳からも入力して、より有効になります。さらに音読しながら同時に手を動かして書く作業が加わるとさらにその効果は高まります。
目からの入力+声で出力+声による耳からの入力+手が動いて出力+目で文字を認識する入力
これらがほぼ同時で行われるので、黙読とは比べられないくらい効果的です。つまり入力+出力+入力+出力+入力が同時進行して、目と口と手が動き複数方向から同時に脳を刺激してくれます。
この時に、きれいに書く必要はありません。きれいに書くことに神経や時間を使うよりも、何度も繰り返して知識の定着を高める方が重要です。
余計なエネルギーは極力使わないことが重要です。
その後重要なのは、「人に説明すること」です。ご存知の方も多いと思いますが、覚えた知識が不完全であれば、人に説明をして納得(理解)させることができません。
これが知識定着のバロメーターとなります。人に理解させることができなければ、再入力の必要があります。
小さな子供が覚えたてのことを、お家の人に話したがるのは本能的に「知識の定着=人に説明できる」ということを理解しているのかもしれませんね。
勉強は効率!時短勉強法を実践させる。
睡眠が重要
睡眠をしっかりと取ることで、イライラせず落ち着いた生活ができるようになります。
人の体内時計の1日は25時間と言われています。朝寝坊を続けていくと、数日で昼間にボーッとしてしまう体となってしまいます。時差ぼけ状態の夜型人間となります。
朝すっきり起きられないのは、まずは睡眠不足が原因です。寝不足になっていては学力向上どころではありません。
まずは、睡眠をしっかりと取らせることが、学力向上には必須の前提条件となります。
学校生活で一番長い「夏休み」を活用
中学校・高校ともに「夏休み」が一番長く学習できる期間となります。夏休みには宿題が出たり、部活動があったりとしますが、受験を戦うための学力をつけようと思ったら、2年生からは活用させていきたいです。
普段の生活で詰め込み学習をするのであれば、夏休みなどの長期休業を活用した方が効果的です。
例えば夏休みが42日間だとすると、
5日+1日で区切り、それを7回繰り返すスケジュールがおすすめです。5日間続けて計画通りの学習を進めて、1日は自由な日にします。(5日間で遅れがあった場合は、それを終えてから)
以下が1日の具体的なスケジュールです。
朝 | 5時頃 | 【起床】 早朝の涼しい時に散歩などをして脳を活動させます。 |
6時頃 | 【朝食】 新聞やテレビのニュースなどを見ます。リラックスタイム。 | |
7時頃 | 【勉強】 3時間〜5時間ほど学習します。 | |
昼 | 11時頃 | 【昼食】 ここまで順調であれば、ご褒美として自由時間。 |
1時頃 | 【昼寝】 30分〜1時間ほど脳を休めます。5時台に起きていれば眠くなります。 | |
3時頃 | 【おやつ】 昼寝後から学習に入り、途中でおやつを食べ気分転換します。 | |
5時頃 | 【勉強】 図書館や公民館で学習。3時間程度。 | |
夜 | 7時頃 | 【夕食】 ニュースやクイズ番組などで気分転換。入浴も済ませると効率的です。 |
9時頃 | 【勉強】 復習・音読・明日の予定確認など。 | |
11時頃 | 【就寝】 就寝前は復習や単語の暗記などをすると効果的です。 |
脳の集中持続時間とやる気(欲)の出し方
人間の脳の集中持続時間は長くて40分です。
なので、中学生・高校生であれば受験勉強で集中しても40分で1〜2分の休憩を入れます。音楽を1曲聴くということをお勧めします。音楽は脳のリフレッシュにとても効果的です。
40分で一区切りの学習スタイルを作りたいですね。
なにかを継続するには「やる気」を出すための「インセンティブ(報酬)」が必要になります。社会人では「成果を出す・仕事をする」ということの代わりに「報酬」という名の「給与」が与えられます。
勉強も同じで、「報酬がもらえるから勉強する」が動機になっていても構わないです。「40分集中できたら、お菓子ひとつを食べる」など、小さなゴールと御褒美を準備しておくと効果的です。
大きすぎると準備も大変ですし、継続できなくなってしまいます。小さなご褒美を積み重ねていくことで、継続的に「やる気の欲」を出すことができます。
受験に勝つために知っておきたい5つのこと
1 受験勉強に才能は要らない
高校受験・大学受験レベルでは、基本知識の暗記量をどれだけ増やすかで合格が決まります。
最近は特に大学入試で出題形式の変更が見られますが、内容は昭和時代の出題内容と大差ありません。問われ方と使う知識が「1つ」から「3つ~4つくらい」に増えているだけです。
社会で言えば、「事件と年号」が答えられればよかったものが、「事件と年号と背景とその結果変わったこと」に変わりました。
つまり、「覚える知識が増えただけ」ですね。背景やら変化したことやらまでしっかり理解して「覚えておかないとダメ」ということです。
結果的に覚える量が多くなったので、早期対策が有効です。いかに早くから受験勉強を始めるかが「勝つコツ」です。そして「効率的に覚えられるか」ですね。
2 一番リスクの少ない受験勉強
受験勉強させるだけでは、社会に出た時に通用しなくなるんじゃないか・・・?
世間では、「人間力」やら「コミュニケーション力」やら【学歴ではない能力】が頻繁に叫ばれています。本人の個性や趣向を活かして好きなことを仕事にできることは幸せで、誰もが憧れる理想ですが、自立して収入を得るには並大抵の努力ではできません。大人は理解しているはずですね。
イチローさんにもキングカズさんにも、藤井聡太さんにも、プロゲーマーにも誰もがなれるわけではありません。
しかし、総理大臣や国会議員、大手企業の一員、好きな会社・流行りの会社に入ることはできます。その可能性を高めてくれるのは、「学歴」ですね。
※違いは「かける労力と時間」ですね。プロになろうとしたら3歳くらいから毎日10時間近く、それのみを続けなければなりません。
✖️学歴重視社会は悪で、学歴よりも人間性や個性を育むことが大切。
⚪︎受験勉強で学歴を取りにいくことは、社会で自立しようとした時の職業選択の幅も広くなり、精神的・肉体的・時間的・経済的にも確率的にもリスクが一番少なく、かつ最大限の効果があります。
地獄のような過酷な努力や特別な才能もいりませんね。私自身も不器用で凡人で、けどやりたいことを勉強で手に入れました。学歴を持つこと自体は、悪ではありませんね。
3 要領良く勉強する
無駄なことを極力省くことが重要です。
無駄なモノを発見するためには、志望校の「過去問」を見ます。できる限り多くの年数を集めます。その全てを分析します。
すると出てこない分野や問題があります。その部分は勉強する必要がありません。
え?でももしかしたら今年になって出題されるかもしれないんじゃない?
その時は、その時です。合格するには7〜8割取れればいいのです。その分野が全て間違いだとしても、他の部分でカバーしたり、毎年出題される部分をしっかりと解けるようにしておく方が重要です。
あとは、計画を立てて、何度も反復練習(繰り返しの暗記)をして、人に説明できるようになれば完璧です。
※体調管理をすることも、効率的な勉強には大事になります。体調管理は睡眠と食事が基本です。
4 偏差値を考える
お子さんの学力を客観的・合理的に数値化した方法として広く一般的となっているのが偏差値です。実は受験を考える際は、この偏差値で考えることがとても重要です。
点数はその時々で変化してしまいます。極端な話、前回8割だったのが今回は6割の点数ということもあり得ますよね。
しかし、その6割が「自分だけできない6割」なのか「受験生全員出来ていない(=問題の難易度が高かった)中での6割」なのかは大きな違いです。
点数だけでは見えない「できた・できていない」を、「偏差値」でなら確認できます。全体の中での自分の学力位置を把握できる偏差値を意識していきましょう。
5 内申書(高校受験)・調査書(大学受験)で「2以下」を取らない
高校受験でも大学受験でも「2」が付いたらかなりまずい状況だ、というのをご存じでしょうか?先生たちも生徒が進学するうえで障害となるものを作りたくはないのですが、そう評価せざるを得ない場合があります。
・単純に定期テスト(中間・期末)の点数が悪い。
・提出物が出ていない。
・他者から見たら、授業態度が悪い。
・「ここテストに出るよ」メッセージを受け取れていない。
この4つがとても多いです。
その理由としては、中学校も高校も「観点別評価」という評価方法を採用しているからです。これは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学ぶ態度」の3つに分かれます。
かつてのように「点数だけ」で「5~1」を付けられなくなりました。しかし授業中に細かく見ていくのも大変です。授業の先生は1人でしょうから、30~40人を細かく評価はできませんね。
そこで重要となってくるのが
・提出物で「主体的な態度(自分から学ぼうとしているか)」を評価する。
・テストに出す世のメッセージを受け取れるかで、「思・判・表」と「主体的~」を評価する。
ということです。
本当は、改めて言うことでもない基本的なことですね。しかし「2」が付いてしまう人は、どこか基本的なことが欠けているから「2」になってしまうのです。
まとめ
いかがでしたか?
学力をつけるためには、お子さん本人がひたすらに努力をすればいいというものでもありません。成績は、保護者の方・ご家屋の方のサポートや助言があって初めて伸びてくるものです。
以上の行動を取り入れられるところから試してみてください。
皆さんの行動がお子様の学力向上につながることを心から祈っております!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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